司法書士事務所の税務調査です。
●税務署
「有限会社○○って何ですか?」
▲納税者
「ああ、私が持っている法人です」
●税務署
「この法人に多額の業務委託費を支払っていますね?」
▲納税者
「はい、従業員はすべて法人に所属していますから」
●税務署
「すべての従業員が法人に在籍しているのですか?」
「それはどのような理由からですか?」
▲納税者
「第一に、社会保険への加入ですね」
「個人事業ですと代表者は社会保険に入れません」
「法人ですと会社代表者も社会保険に入ることができるのです」
「それと法人の方が従業員にとっても体裁がよいからです」
●税務署
「なるほど・・・」
納税者はもっともらしい説明を調査官にしています。
しかし、個人事業者が法人を別に持つには、他にも理由があるのです。
それは個人事業者の税金が安くなるからです。
個人事業者は、事業で生じた収入から実際にかかった必要経費を差し引いて事業所得が計算されて課税されます。
そこで、法人を作って全従業員をその法人に転籍させます。
そして、その法人に個人事業の業務処理を個人事業主が法人に委託する契約をします。
法人の収入は、この個人事業からの業務委託収入になります。
この段階で、今まで個人事業者の所得であったものが、相当額法人の所得として移転します。
そして、個人事業者は法人の代表者となっていますので、法人から役員報酬をもらいます。
このように、法人を設立することにより個人事業者は、事業所得だけの状態から、法人への業務委託費の支払により圧縮された事業所得と、法人からの給与という状態に変わりました。
給与には給与所得控除がありますので、結果として個人の事業所得が給与に転換することにより税金が安くなるのです。
あまり税務署が歓迎する仕組みではありません。
To be continued
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