社長が役員を退任して、それに伴う役員退職金を会社は計上しました。
役員退職金が損金として算入されるタイミングとして次の二つの基準があります。
(1)株主総会等の決議により、退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度
(2)法人が退職金を実際に支払った事業年度で役員退職金という科目で経理処理すれば、その事業年度
今回の会社は支払うお金がありませんでしたので、役員退職金を未払い金として経理処理して計上しました。
すると、(2)の基準でその事業年度で損金に算入することはできません。
(1)の基準によらざるを得ないのです。
つまり、株主総会を開いて、退職する社長の退職金額を具体的に決議することが必要なわけです。
それを証明するのが、この株主総会にかかる株主総会の議事録です。
今回は、役員の退任が急であったことから、定時株主総会ではなく、臨時株主総会によらざるを得ませんでした。
会計事務所が、決議した内容を盛り込んだ臨時株主総会議事録を作成して、会社の経理担当者に渡してあるはずです。
あとは、臨時株主総会に出席した取締役が押印するだけの状態で、渡してあります。
それが、納税者は「議事録?・・・」と言ったきり、首をかしげてこちらを見ています。
まったく、もう・・・・ この議事録がないと大変なことになります。
数千万円の役員退職金が損金にならなかったらえらいことです。
■会計事務所
「以前お渡しした、臨時株主総会議事録はどうしました?」
▲納税者
「えっ・・・もらってましたっけ?・・・」
■会計事務所
「B4大きさの・・・」
▲納税者
「あぁ~、これですか?」と言って机の引き出しを開けました。
なんと、会計事務所が作った臨時株主総会議事録が取締役の印も押されずに、そのままの姿で引き出しの中に入っていました。
あちゃ~。税務調査官の目の前で・・・
●税務署
「何ですか それは?」
▲納税者
「・・・・」
■会計事務所
「いや、何でもないです」と言って机の中の議事録を引っ張り出します。
そして、調査官に背を向けて、議事録が見えないようにプロテクトします。
経理担当者にも同じような姿勢をとらせて、議事録をガードします。
「何で取締役の印鑑を押しておかなかったんですか?」と小声でささやきます。
▲納税者
「すみません」
「すっかり忘れていました」
■会計事務所
「会社の代表印と取締役の三文判はどこにありますか?」と小声で聞きます。
▲納税者
「私の机の中にあります・・・」
To be continued
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