週刊税務調査日記

対立した調査 (3)

第91号 2003/12/15

調査官は、個人の収入が法人に入り込んでいるのではないかと疑っています。

そして、法人の総勘定元帳を要求してきました。

今回は個人の調査ですので、この要求は拒否しました。

調査官は「なんかやましいことでもあるのですか?」と言ってきました。

▲納税者

「やましいこと?」

「そんなことないですよ」

「あなたは私のことを疑ってますね?」

●税務署

「いや、何もなければ見せてもらってもよいと思っているだけです」

お互いに徐々に感情的になってきました。

■会計事務所

「チョッと待ってください」

「何か隠しているとかではなくて、今回の調査は個人を対象にした調査ですから、法人の総勘定元帳をお見せすることができないと言っているだけで、他に理由があるから見せられないということではありません」

▲納税者

「そうだよ、なのに何だよあの言いぐさは」

●税務署

「ま、わかりました。そうですか・・・」

時間は夕方の5時になろうとしています。

そろそろ調査官も帰る時間です。

●税務署

「今日一日では見きれませんでしたので、個人の総勘定元帳をお借りしてもよろしいですか」

「それと、お客様に出した請求書の控も去年の1年分いただけますか」

▲納税者

「請求書の控も?」と言いながら資料を調査官に渡します。

●税務署

「署に帰って見させていただいた結果、先生にご連絡差し上げます」

■会計事務所

「わかりました」

そうして、調査官は帰って行きました。

おそらく、請求書の控と総勘定元帳の売上の計上とを税務署ですべてチェックするのでしょう。

そうすれば「個人ですべての売上が計上されているか?」、「法人で計上されてしまっている売上がないか?」ということの回答がおおよそ出るはずです。

完全に疑ってかかっているようです。

      To be continued         

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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