税金の分割払の交渉で、毎月の支払金額が決まったと思ったら、先日付の小切手での支払を要求されました。
先日付の小切手は、ほぼ手形と同じような機能を持ちます。
1ヶ月先、2ヶ月先の日付を記入した小切手で、その日付以降に銀行に小切手を提示すれば換金されるとともに、納税者の当座預金口座から自動的に引落されます。
もし、当座預金の残高が引き落とし金額より不足している場合には、実質的に手形の不渡りと同じようなことになり、会社の信用はがた落ちとなります。
したがって、先日付の小切手を発行してしまうと、納税者は完全に納税に対して縛られた格好になるわけです。
これは納税者にとってはつらい縛りとなります。
資金繰りに関係なく納税しなければならない状況となってしまうからです。
■会計事務所
「小切手を差し入れるのは勘弁していただきたいのですが・・・」
●税務署
「なぜですか?毎月30万円支払うということですよね。」
■会計事務所
「お支払はしますが、小切手を差し入れるのは・・・」
●税務署
「支払うと言ったのですから、こちらとしてもそれを確実に実行してもらうために小切手を通常はお預かりしているのですが・・・」
■会計事務所
「会社は生き物で、資金に余裕のあるときもあれば、余裕のないときもあります」
「その余裕のないときに小切手がまわってきて引落がかかったら、会社の信用問題になってしまいます。」
「お約束は必ず守りますが、不測の事態を考えると先日付けの小切手を差し入れることは勘弁していただきたいと思います」
「不動産を担保に入れるわけですし、国税サイドとしても債権の保全はそれでなされているわけですから」
●税務署
「ん・・・・」
「わかりました。社長を信用します」
▲納税者
「ありがとうございます」
これから先、6ヶ月分の税金の納付書をもらって分割交渉は終了しました。
こんどはその足で都税事務所に向かいます。
法人事業税、法人都民税の分割交渉です。
都税事務所に到着です。
▲納税者
「滞納税金の分割払いのお願いで来たのですが・・・」
すると、担当者が現れました。
住所と会社名を言うと、コンピュータのキーボードをたたいて会社の情報を出しています。
◆都税事務所
「で、月にいくらくらいなら払えるのですか?」
▲納税者
「先生、いくらにしたらいい?」と耳元でささやきます。
■会計事務所
「試しに、5万円といってみたらどうですか」とささやき返します。
▲納税者
「ぎりぎりで月5万円なら払えるのですが・・・」
◆都税事務所
「では、5万円で」
「今、納付書を書きますから、少しお待ちください」
あっけなく話はついてしまいました。
国税とはまるっきり違います。
驚きました。
ということで、一件落着です。
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