週刊税務調査日記

しゃべりまくった調査(4)

第65号 2003/6/16

実態のない外注費を計上した会社の税務調査の日が来ました。

始めからこのようなことが分かっている税務調査の立会いは正直言ってつらいものがあります。

立ち会う税理士なら誰しも、心穏やかに立ち会いたいと思うのが正直なところです。

そのために毎月納税者の会計処理や税務処理を指導して、税務調査を受けても心穏やかに立ち会えるように日々事務所職員に努力してもらっているわけです。

ですから、毎月関与しているお客様については、会社の実態や会計処理のポイントなどを把握していることから、あまり税務調査の立会いで心臓が「バコンバコン」ということはありません。

しかし、今回のお客様のように、年1回決算だけ関与しているような場合には、会社の状況を把握することが難しく、税務調査の立会いで何かが出ることが間々あります。

調査当日です。

■会計事務所

「今回は女性の調査官が一人で来ます。調査予定は今日だけです。」

「今回の調査は爆弾を抱えていますので、とにかく時間を稼いであまり調査をしてもらわないような作戦で行きます」

▲納税者

「はい、わかりました。本当に申し訳ございません。」

■会計事務所

「いろんな話題を振って時間稼ぎしますので、参加できる話題がありましたら話に入ってきてください」

▲納税者

「はい、わかりました。本当に申し訳ございません。」

しばらくして、調査官のお出ましです。

●税務署

「おはようございます」

年齢はおよそ20代の後半。まだ、そんなに実務経験はなさそうです。

■会計事務所

「おはようございます。お手柔らかにお願いいたします。」

▲納税者

「おねがいしま~す」とチョッと軽いあいさつ。

■会計事務所

「今日は、本当に暑いですね」

●税務署

「そうですね。本当に暑いですね。」

このように、天気の話から入ってあれやこれやで30分は時間を稼ぎました。

そして、会社の概況の聴取です。

●税務署

「お仕事の内容は・・・・」

さあ、とにかく時間を稼ごう。

調査官が社長に質問しているときも、頭の中では「この調査官はどんな話に乗りやすいかな?」なんて分析します。

疲れる調査になりそうです・・・・

             To be continued

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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