週刊税務調査日記

調査の立会いを依頼された調査(3)

第55号 2003/4/7

さっそく調査が始まりました。

調査官は前回までの宿題の資料を要求しました。

会社はちゃんと準備していて資料の提出もスムーズです。

話を聞いていると確かにいくつかの不備は会社にあります。

しかし、どれも重箱の隅を突くような軽微な事項ばかりです。

会社の無知から来る不備で、意図して税金をごまかしているというようなことではありません。

●税務署

「役員報酬を途中で大きく増やしていますが、議事録はありますか?」

▲納税者

「いや、作っていません」

●税務署

「作ってないのですか。これは問題だな」

この会社は有限会社で、商法上取締役の報酬は社員総会で決めることになっています。

ですから、役員報酬を増やしたら、社員総会を開催して社員総会議事録を作成しておく必要があります。

しかし、この会社の社員は代表者1名で、取締役も代表者1名だけです。

このような状況で、社員総会を開いて取締役の報酬額変更の決議をしなくてはならないのでしょうか。

1人で社員総会開会の宣言をして、1人で「承認可決しました」とか言って社員総会を開くでしょうか。

想像しただけで吹き出してしまいます。

社員であり取締役である人の報酬はこのケースの場合、自分で「××万円にする」

と決めればよいのではないでしょうか。

その議事録がないから認めないなどということは、チョッとおかしいと思います。

■会計事務所

「確かに議事録はないですけど、そんなに問題にするようなことではないと思いますが?」

「社員は代表者だけなのですから、毎日が社員総会みたいなものですよ」

●税務署

「・・・・」

「分かりました」

調査官は、相当不満そうな顔をしています。

To be continued

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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