相当昔の調査です。
税務署から連絡があり、調査の立会いとなりました。
●税務署
「○○税務署の安税です。よろしくお願いいたします。」
まだ20代の若い調査官です。少し気の弱そうな感じですが、侮れません。
会社概要の聴取、代表者への質問等が済み、本格的な調査に入りました。
「総勘定元帳を見せてください」
▲納税者
「はい、どうぞ」
調査官は総勘定元帳を見て納税者に対して質問を始めました。
●税務署
「3月28日に購入されている50万円の商品券がありますが、これは何のために購入されたのですか?」
アチャ~。
決算直前に商品券を50万円も買っているなんて。商品券は買っただけでは、経費になりません。
商品券を、得意先にあげたり、自ら使ったときに経費となるのです。
参ったな!
すると突然、納税者が机の引出しを開けました。
▲納税者
「はい、お客さんに渡すために買ったもので、まだこれだけ残っています」
と言って、輪ゴムで留めた商品券の束を手に持って調査官に見せています。
アリャ~。
これはもうだめだ!
帳簿上は商品券50万円が全額買ったときに交際費で計上されています。
正しい経理処理としては、決算日現在で未使用の商品券を決算書で「貯蔵品」勘定によって計上する必要があるのです。
決算直前で購入したのですから、決算日現在ではそのほとんどが未使用であるはずです。
つまり、交際費として計上した50万円は経費として認められないのです。
「やっちゃった」とがっかりしていると・・・・
●税務署
「はい、分かりました。結構です。」
と言って何事もなかったかのように総勘定元帳をパラパラめくり始めました。
ハ・・・。
「まあいいや。もうけた!もうけた!」
その日の調査は終わりました。
調査官が帰った後、納税者に商品券に対する正しい経理処理を説明しました。
▲納税者
「え、そうなの。知らなかった。」
■会計事務所
「商品券を手にして調査官に見せびらかさないで下さいよ」
▲納税者
「いや~ 知らないということは恐ろしいことですね。ハハハ」
To be continued.
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