週刊節税教室

法人がする寄付、個人がする寄付

法人税・所得税
第348号 2008/11/27

☆質問

「前回は、法人がする寄付の税金に関する取扱について説明してもらいました」

「個人が寄付した場合にも寄付金控除というものがあったと思いますが、法人の寄付金の扱いとどう違いますか?」

★回答

「個人の寄付金控除は、社会保険料控除と同様に所得控除になります」

「法人の場合は、一定の額が損金に算入されますので、いずれの場合も寄付金の一定額が所得を減らすという効果は同じです」

☆質問

「なるほど、所得を減らして納税額が減るということでは同じということですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「個人の寄付金控除の限度額はどのようになりますか?」

★回答

「その年にした特定寄付金の額と総所得金額等の40%相当額のいずれか低い金額から5千円を引いた額が寄付金控除の限度額となります」

☆質問

「総所得金額等が800万円の人だったら、319万5千円までの特定寄付金を所得から控除できるということですか?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「法人における寄付金の損金算入限度額は、資本金等と所得金額を元に計算しましたが、個人は総所得金額等が元になることが分かりました」

「先ほど、個人の寄付金控除で特定寄付金という言葉を使っていましたが、個人の寄付金控除の対象となる寄付先は限定されているのですか?」

★回答

「限定されています」

「個人の寄付金控除の適用がある寄付先は、国、地方公共団体、公益法人や特定公益増進法人など税法で限定されているのです」

「つまり、これらに対する寄付金である特定寄付金でないと、寄付金控除自体を受けることができないのです」

☆質問

「法人は違いましたよね?」

★回答

「法人がする寄付においては、寄付金であればどのようなものでも一般の寄付金ということで、法人の損金算入限度額以内であれば法人の損金になります」

☆質問

「つまり、認定NPO以外の一般のNPO団体に寄付した場合、法人が寄付をすれば損金算入のチャンスはあるけれども、個人が寄付した場合には、特定寄付金に該当しないことから、初めから寄付金控除の対象とはならないということですか?」

★回答

「そのとおりです」

「一般のNPO法人に対して寄付をするのであれば、個人ではなくて法人でした方が節税になるということです」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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