週刊節税教室

複数の会社で業務主宰役員をしている

法人税
第276号 2007/4/21

☆質問

「私はアパレルの製造卸をしています」

「商品の製造をしているA社と製造した商品を販売するB社の2社を経

営していて、いずれも代表取締役をしています」

「この3月決算で、両社とも特殊支配同族会社に該当してしまい、税金

が心配です」

「どのくらい影響がありますか?」

★回答

「まず、両社からもらっている役員報酬額を教えてください」

☆質問

「A社が年間1,200万円で、B社からは1,500万円もらっています」

★回答

「特殊支配同族会社の規定に従って役員報酬の内、損金に算入されな

い金額は次のように計算されます」

A社:220万円+(1,200万円-1,000万円)×5%=230万円

B社:220万円+(1,500万円-1,000万円)×5%=245万円

☆質問

「え~ 2社で475万円も法人の所得が増えてしまうのですか?」

★回答

「そうです」

☆質問

「何か、税金が安くなる方法はないのですか?」

★回答

「あります」

「2社以上の会社で業務主宰役員になっている場合には、それらの役員

報酬を合算して損金不算入額を計算することができるのです」

☆質問

「A社とB社の役員報酬を合算して計算すると税金が安くなるのですか?」

★回答

「安くなります」

「計算は次のようになります」

A社とB社の役員報酬の合算額:1,200万円+1,500万円=2,700万円

2,700万円の損金不算入額:

    220万円+(2,700万円-1,000万円)×5%=305万円

A社分:305万円×1,200万円÷2,700万円=135万円

B社分:305万円×1,500万円÷2,700万円=169万円 

☆質問

「なるほど」

「合算すると2社でも304万円とかなり安くなりますね」

★回答

「そうです」

「ただし、この合算計算をするには、確定申告書の提出期限までに一

定の書類を税務署に提出することが要件となっています」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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