☆質問
「私は、会社を経営していて、おかげさまで業績も好調です」
「しかし、会社の株価が高くなり、将来の相続時に多額の税金を支払うの
ではないか不安です」
★回答
「会社の価値は株式にすべて反映され、上場していない中小企業の株式
についても、会社が高額な不動産を所有していたり、また業績が好調で利
益を出し続けた場合には、その評価額はかなりの額になります」
「そして、その株式が相続時には相続税の対象になり、高額な相続税を支
払うことになります」
「しかし、その株式は証券取引所で売却して現金化できるわけでもないの
で、納税資金に窮することがままあります」
☆質問
「そうですよね」
「それと、この会社はやはり息子にやってもらいたいので、他人に株式を売
却するわけにも行きません」
★回答
「そのとおりです」
「国も、その点の実情を少しは理解してまして、この平成19年度の税制改正
に盛り込まれています」
☆質問
「どのような内容ですか?」
★回答
「相続時精算課税制度の内容を拡充したものです」
「将来相続人になる者が、平成19年1月1日から平成20年12月31日までの
間に非上場株式の贈与を受ける場合、一定の要件を満たすと、60歳以上
の親から3,000万円までの贈与について贈与税がかからないとする改正が
予定されています」
☆質問
「今までの相続時精算課税制度とどう違うのですか?」
★回答
「贈与する親の年齢が65歳以上で、非課税の枠が2,500万円だったのが、
次に説明する一定の要件を満たすと60歳以上で3,000万円になるのです」
☆質問
「では、適用要件を教えてください」
★回答
「現在公表されている適用要件は以下のとおりです」
・会社の発行する株式総額の評価額が20億円未満であること
・次に2つの要件を贈与税の申告期限から4年経過時に満たしていること
(1)受贈者が発行済み株式等の50%超を所有し、議決権も50%超有し
ていること
(2)受贈者が会社の代表者として経営に従事していること
☆質問
「なるほど、分かりました」
「ところで、この制度を使った贈与は、どのタイミングで行うのがよいのです
か?」
★回答
「どのタイミングで贈与を行うかは、会社の状況により違ってきます」
「毎期経常的に多額の利益が見込まれる会社であれば、早い時期に贈与
するのが得策です」
「なぜなら、将来的に株価が毎期毎期上昇するからです」
「株価が上がる前に贈与すれば、それだけ多くの株を子供に移せるからで
す」
「相続時精算課税制度で贈与した株式は、将来実際に相続が起きた時に
は、贈与した時点の評価額で相続財産として取り込まれますので、株価が
上昇すると見込まれる場合は、この制度を使うと有効な相続税対策となり
ます」
つづく
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