☆質問
「平成19年度の税制改正で、昨年新しくできた特殊支配同族会社に関する
扱いの変更があると聞いたのですが?」
★回答
「はい、そのとおりです」
☆質問
「どのような変更内容だったのですか?」
★回答
「特殊支配同族会社の適用除外基準が大幅に引き上げられたのです」
「改正前は、基準所得金額(過去3期間のオーナー給与控除前の所得金額
の平均値)が800万円以下であれば適用除外でした」
「改正後は、基準所得金額が倍の1,600万円以下であれば適用除外となり
ます」
☆質問
「改正前の倍の1,600万円とは驚きました」
★回答
「私も驚きました」
「税理士会の政治連盟では、我々の活動のおかげ、と言っていますが、も
っと始めからきちんと制定してもらいたいものです」
☆質問
「この適用除外基準の改正はどのような影響がありますか?」
★回答
「この制度ができた昨年は、個人事業の法人成りの節税メリットがなくなっ
たと言われました」
「しかし、今回の改正でまた復活したと言ってよいでしょう」
☆質問
「具体的に教えてください」
★回答
「まず個人事業を法人にすると、それだけで税金が安くなる仕組みを説明
します」
「個人事業で所得が1,600万円あったとします」
「この個人事業をそのまま法人化します」
「法人では役員報酬を1,600万円支払います」
「すると、法人の所得はゼロで、個人では1,600万円の給与収入となりま
すが、所得は1,350万円になります」
☆質問
「個人事業のときと同じ条件でも、個人の所得が法人にすると250万円も
安くなるということですね?」
★回答
「そのとおりです」
「それは、給与収入には給与所得控除という特別な控除があるからで、
1,600万円の給与には250万円の給与所得控除があり、所得の計算で
控除できるのです」
☆質問
「なるほど」
★回答
「特殊支配同族会社の規定は、この節税効果を締め出すためのものです
が、適用除外の金額基準が倍になったことから、またこの節税効果が復
活したと言えるでしょう」
☆質問
「ウレシイ改正なのですね?」
★回答
「そうです」
「法人化した第1期目は、その期のオーナー給与控除前の所得が1,600万
円以下であれば適用除外になります」
「2期目は、前年のオーナー給与控除前の所得が1,600万円以下かどうか
で判定されますので、1期目と同じ基準となり2期目も適用除外となります」
「3期目は、1期目と2期目のオーナー給与控除前の所得の平均額で判定
されます」
「4期目以降は、過去3期間の平均で適用除外要件を満たすかどうか判定
されます」
☆質問
「過去3期間の平均ということは、常にオーナー給与控除前の所得が1,600
万円以下になっていれば、ずっと適用除外になるということですね?」
★回答
「そのとおりです」
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