☆質問
「前回の続きで、役員退職金についてもう少し教えてください」
★回答
「はい、いいですよ」
☆質問
「前回、高額な役員退職金に関しては、過大役員退職金として会社の経費
にならないと説明を受けました」
「これは、支払った役員退職金の全額が経費とならないのですか?」
★回答
「いいえ、不相当に高額な部分の額だけ経費になりません」
☆質問
「何を持って不相当に高額と判断するのですか?」
★回答
「税法では、以下のように規定しています」
「退職した役員に対して支給した退職給与の額が、当該役員のその内国法
人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を
営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給
の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると
認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とする」
☆質問
「抽象的な規定振りですね」
★回答
「そうですね」
☆質問
「実際に税務署が不相当に高額な部分を認定するとしたら、どのようにする
のですか?」
★回答
「対象となる会社と類似した法人の役員退職金支給実績額を抽出して、そ
の平均額や最高額との差額を不相当に高額な部分とするのが一般的なや
り方です」
☆質問
「類似会社の実績を比較の対象とするのですね?」
★回答
「そういうことです」
☆質問
「ところで役員退職金の内、不相当に高額な部分は会社の経費にならない
ということはよく分かりましたが、退職金をもらった人の税金について、その
不相当に高額な部分はどのような扱いになるのですか?」
「役員賞与といった扱いになって、退職所得ではなくなってしまうのですか?」
★回答
「いいえ違います」
「退職金をもらった人の税金の扱いは、不相当に高額な部分も含めて全額
退職所得となるのです」
☆質問
「もらった人は、全額税金が優遇されるということですね?」
★回答
「そのとおりです」
☆質問
「そうすると、知事みたいに短期間で役員を退職して、巨額の退職金を受け
取った場合、不相当に高額な金額は会社の経費にはならないけれども、も
らった役員は全額退職所得になるから税金がかなり有利になるということで
すね?」
★回答
「そのとおりです」
「4年間役員をやって、退職金を4千万円もらっても、4千万円から退職所得
控除160万円を引いて、その2分の1である1,920万円だけが他の所得とは
合算されずに税金の対象になるのだから税金が有利ということです」
☆質問
「でも、退職金を支給した会社は、不相当に高額な部分が会社の経費にな
らないわけですから、会社の税金は増えてしまいますよね?」
★回答
「そうですね」
「しかし、支給した会社が赤字だったり、繰越欠損金がかなりあるケースだ
と、たとえ役員退職金の内、過大部分を経費として認められなくても、会社
で税金が発生しないケースもあります」
☆質問
「なるほど」
「そういったケースではかなりお得になりますね・・・」
ください!
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