☆質問
「武田薬品が海外に1,200億円もの所得を移転して、大阪国税局から570億
円の税金を追徴されたと新聞に出ていました」
「また、ソニーも複数の海外子会社に所得を移転したとして、279億円の税金
を追徴されていると報道されていました」
「立続けにいったいどうして、このような多額の税金を追加で支払えと言われ
ているのですか?」
★回答
「それは移転価格税制によるものです」
☆質問
「移転価格税制?」
「それってどんな税制ですか?」
★回答
「法人税で定めれている制度です」
「日本の法人が、海外にある子会社などを利用して、本来日本の法人が計
上すべき所得を、海外の子会社などに移転することを防ぐ税制です」
☆質問
「所得を海外に移転するといっても、どのように移転するのですか?」
★回答
「日本の法人が、海外子会社に商品を売り上げるケースを例にしましょう」
「日本の法人が通常は100で販売している商品(原価60)を、海外子会社に
70で販売するとします」
☆質問
「はい、そうすると日本の法人は100で売れば本来40の所得(100-60)があ
るはずなのに、70で売るから10の所得(70-60)しかあげられません」
「差額の30の所得(40-10)がなくなってしまったということですね」
★回答
「そして、海外子会社はその商品を100で第三者に売却したとします」
☆質問
「海外子会社は、70で日本法人から買った商品を100で売却したのだから
差引30の所得になりますよね」
★回答
「そうです」
「本来日本の法人に帰属すべき所得30が、海外子会社に安く売ることで、
海外子会社にその所得が移転したことになるのです」
☆質問
「なるほど」
「このことを所得の移転というわけですね?」
★回答
「そうなのです」
「このようなことが自由にできてしまうと、税金の安い国に所得を意図的に
移転したりすることができ、本来日本で払うべき税金の徴収ができなくなっ
てしまうのです」
☆質問
「そうですか」
「それで、移転価格税制では先ほどの例のような場合、どのようにして日本
の法人に課税するのですか?」
★回答
「日本の法人が海外子会社に70ではなくて100で売り上げたとして、差額
の30の所得に対して税金をかけるのです」
☆質問
「なるほど」
「でもそうすると、海外子会社でも30の所得に対して海外で税金がかかる
わけですから、日本と海外で2重に税金がかかってきてしまうのではない
ですか?」
★回答
「海外子会社では、逆に30の所得は減額処分されて、2重に税金がかか
ることはないように手当てされています」
なお、アトラス総合事務所のホームページで、役員報酬の改正について
解説していますので、ご覧になってください。
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