週刊節税教室

定期同額給与

法人税
第227号 2006/4/17

☆質問

「定期同額給与という言葉を聞いたのですが、どういう意味ですか?」

★回答

「平成18年度の税制改正で使われている言葉で、役員報酬のことを規定

する条文で使われているのです」

「1ヶ月以下の一定の期間ごとに支払うのが定期で、1事業年度を通じて

支給額が同額であることを同額、両方合わせて定期同額給与としていま

す」

☆質問

「役員報酬は、この定期同額でなければならないということですね?」

★回答

「そうです」

「役員報酬を定期同額で支払わないと、会社の経費として認めないという

ことです」

☆質問

「この取扱は、以前からあったのですか?」

★回答

「ありました」

☆質問

「何で、定期同額である必要があるのですか?」

★回答

「基本的には、経費となる役員報酬と経費とならない役員賞与を、形式的

な基準で区分しようとするものです」

☆質問

「そもそも何で役員報酬は会社の経費となって、役員賞与は会社の経費

にならないのですか?」

★回答

「役員報酬は、会社の経営を株主から任された取締役の職務執行の対

価で、当然に会社の経費となるものです」

「一方、役員賞与は、取締役が職務を執行して利益が計上された場合だ

け支給されるもので、税法上は利益の処分ということで会社の経費とし

て認められません」

☆質問

「なるほど」

★回答

「しかし、支払われた役員報酬が、取締役の職務執行の対価なのか、利

益の処分なのかの区分は困難です」

「そこで、形式的に定期同額であれば役員報酬、そうでないものを役員賞

与とする扱いとしているのです」

☆質問

「なるほど」

「でも、何でいまさら定期同額を強調するんですかね?」

★回答

「新会社法により、個人事業者の法人成りが多くなることも、その理由とし

てあるような気がします」

☆質問

「そうですか。それで強調しているのですね。」

「ところで、定期同額といっても役員報酬の金額を変更することも当然ある

わけですが、その場合はどうしたらよいのですか?」

★回答

「改正法では、会計期間開始の日から3月を経過する日までに役員報酬の

改訂があった場合で、かつ以後改定額を支払い続ける場合は、会社の経費

として認めるとしています」

☆質問

「会計期間開始の日から3ヶ月以内の改訂しか認めないのですか・・・・」

「厳しいですね」

「でも、会社の経営状況が悪化して、今までの役員報酬を支払えなくなった

場合なんかは、どうするのですか?」

★回答

「そのような場合は会計期間開始の日から3ヶ月以内でなくても、役員報酬

の減額改訂ができます」

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公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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