週刊節税教室

株式配当金の申告にはご注意(1)

所得税
第217号 2006/2/6

☆質問

「確定申告の時期が近づいてきました」

「昨年、上場株式の配当と上場していない中小企業の会社の株式配当

を受けましたが、確定申告はどうすれば良いですか?」

★回答

「上場株式については、発行済み株式の5%以上を有する個人を除いて

確定申告をする必要はありません」

☆質問

「そうなんですか」

★回答

「しかし、確定申告をすると税金が得するケースがあります」

☆質問

「どのようなケースですか?」

★回答

「課税所得が330万円以下の場合は、配当を確定申告した方が得になり

ます」

☆質問

「それはなぜですか?」

★回答

「上場株式の配当金は所得税7%、地方税3%のトータル10%の源泉徴

収をされています」

「課税所得330万円以下の所得税率は10%ですが、配当金額の10%だ

け税金を安くする配当控除により、配当を申告しても税金が増えることが

ないからです」

「したがって配当を確定申告すると、配当から天引きされた所得税7%の

税金が戻ってくるのです」

☆質問

「住民税はどうなんですか?」

★回答

「住民税にも配当控除という制度がありますが、所得税とチョッと違いま

す」

「住民税は、課税所得が200万円以下の場合、税率は5%になり、配当

控除は、配当金額の2.8%ですから、配当を申告すると2.2%分だけ税金

が増えます」

「200万円超700万円以下の場合、税率は10%になり、配当控除は、配

当金額の2.8%ですから、配当を申告すると7.2%だけ税金が増えます」

「所得税は、課税所得が330万円以下であれば、配当を申告しても税金

が増えることがないわけですから、配当を申告しても増える税金は住民

税の7.2%だけです」

☆質問

「課税所得330万円以下で上場株式の配当を申告すると、配当から天引

きされた所得税7%分は戻ってくるけれども、逆に住民税は増えるという

ことですね?」

★回答

「そうです」

「しかし、配当からは10%(所得税7%、住民税3%)の税金が既に天引

きされていますので、配当を申告することにより10%-7.2%(住民税の

課税所得が200万円以下の場合は2.2%)だけ税金が得になるという仕

組みです」

次回は、非上場株式の配当金について説明します。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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