週刊節税教室

自宅事務所と住宅ローン控除

所得税
第216号 2006/1/30

☆質問

「住宅ローンを組んでマンションを購入しました」

「私は個人でデザインの仕事をしていますが、仕事場は自宅です」

「自宅にかかる費用を個人事業の経費として計上できますか?」

★回答

「持ち家でも個人事業で事業のために使っているのであれば、その部分

については個人事業の必要経費とすることができます」

☆質問

「どういったものが必要経費になりますか?」

★回答

「住宅ローンの金利、固定資産税、火災保険料、建物の減価償却費な

どが必要経費になります」

☆質問

「それらが全額必要経費になるのではなく、個人事業で使っている部分

が必要経費になるのですよね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「私のマンションは3DKで、その内1部屋をデザインの作業場として使っ

ています」

★回答

「マンションの総床面積はいくらですか?」

☆質問

「70平米です」

★回答

「デザインの作業場として使っている部屋の面積は?」

☆質問

「15平米です」

★回答

「トイレや廊下などの仕事用と居住用で共通して使用する部分の面積は

どのくらいですか?」

☆質問

「10平米くらいです」

★回答

「そうすると、70平米-15平米-10平米=45平米が居住用の面積とい

うことになります」

自宅マンションを個人事業で使っている面積は、次のように計算されます。

 作業場面積A+共用面積B×A÷(A+居住用面積C)

 15平米+10平米×15平米÷(15平米+45平米)=17.5平米

☆質問

「なるほど」

「すると事業使用割合は、17.5平米÷70平米=25%と計算され、この率を

住宅ローンの金利、固定資産税、火災保険料、建物の減価償却費に掛け

た額が、個人事業の必要経費になるわけですね?」

★回答

「そうです」

「しかし、この事業使用割合は、住宅ローン控除の計算に密接に関わって

くるということに注意しなくてはなりません」

☆質問

「住宅ローン控除の計算にですか?」

★回答

「そうなんです」

「住宅ローン控除の適用要件として、まず床面積の50%以上を専ら居住用

に使っている必要があります」

☆質問

「50%以上を事業で使っていたら、住宅ローン控除を適用できないということ

ですか?」

★回答

「そういうことになります」

「次に、事業で50%未満使っている場合でも、住宅ローン控除の計算では、

居住に使っている部分の割合しか控除の対象にならないため、その分控除

額が減額されます」

☆質問

「100%居住用に使っている場合は、住宅ローン控除を満額受けることがで

きるけれども、25%事業用で使っていると、その分控除額が減額されるので

すね?」

★回答

「そうです」

「ですから、住宅ローン控除額と事業で必要経費に算入して節税できる金額

を比較してみる必要があります」

「それと、税法で事業使用割合が10%未満の場合には、事業で使っているの

にもかかわらず、住宅ローン控除の対象となる不動産を全て居住用で使って

いるとする取り扱いがありますので、事業使用割合を10%未満に設定すると

いうのもひとつの節税の方法かもしれません・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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