☆質問
『新聞に、弁護士である夫が、税理士である妻に支払った顧問料
は、夫の個人事業の必要経費にならないという裁判所の判決があ
ったと出ていました』
『これって、どういうことですか?』
★回答
所得税法56条で、「個人事業者と生計を一にする配偶者その他の
親族に、事業のために何かをしてもらって、その対価を支払った
としても、その支払は個人事業者の経費にはならない」と規定さ
れています。
裁判所の判決は、この規定に沿ったものです。
☆質問
『何で生計を一にしているとダメなのですか?』
★回答
生計を一にするということは、財布を共にするということですか
ら、そういう間柄では何でも自由勝手にできるということから、
こういう規定を設けているのだと思います。
☆質問
『夫が弁護士事務所を持っていて、妻も別のところに税理士事務
所を持っていれば、税理士報酬は支払った夫の経費として認めら
れても良さそうなものですよね?』
★回答
確かにそうですね。
☆質問
『私は父親が所有している建物を借りて個人事業を始めようと思
っているのですが、父親に支払う予定の家賃も私の事業の必要経
費にならない可能性があるということですね?』
★回答
そのとおりです。
あなたとお父さんが生計を一にしていると、家賃は必要経費にな
りません。
☆質問
『父とは同居していますが、生計を一にしないようにすれば父に
支払う家賃は必要経費になりますね?』
★回答
生計を一にしていないのなら、必要経費になります。
☆質問
『食費や水道光熱費、トイレットペーパーなども私と父が別々の
財布で賄えば良いわけですか?』
★回答
基本的にはそういうことになりますが、一緒に暮らしていると全
てについて別々の財布というのも難しいところですね・・・
☆質問
『もし、父と生計を一にしていると見なされると、支払った家賃
は全額私の個人事業の経費にならないのですか?』
★回答
そうです。
しかし、お父さんが支払ったその建物の固定資産税や火災保険料、
借入金利息などは、あなたの個人事業の経費とすることができる
のです。
☆質問
『なるほど、生計を一にしていれば、父が私からもらった家賃を
不動産所得として申告する場合の必要経費を、私の個人事業の必
要経費とすることができるのですね?』
★回答
そのとおりです。
生計を一にするかしないかで、税金の負担が変わってきますので、
よくそのあたりを確認してから身内に対価を支払う必要があるの
です。
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