週刊節税教室

不納付加算税

所得税
第180号 2005/4/25

☆質問

『従業員の給与から預かった源泉所得税を、ついうっかりして

納税するのを忘れていました』

『何かペナルティーがあるんですよね』

★回答

あります。

不納付加算税というペナルティーがあります。

☆質問

『どのようなペナルティーなのですか?』

★回答

源泉所得税の法定納期限を過ぎて納税した場合に、原則として

納税額の10%をペナルティーとして課されるものです。

☆質問

『原則として、ということは例外もあるのですね?』

★回答

そうです。

次の2つの要件を満たすと、ペナルティーの料率が5%になりま

す。

(1)納税告知(税金を納めなさいという税務署からの通知)を受

 ける前に期限後に納税したこと

(2)税務調査があって、告知されることを予知して納税されたも

 のでないこと

☆質問

『なるほど、告知されることを予知して納税しなければ、期限を

過ぎても、ペナルティーは5%で済むのですね』

『しかし、告知されることを予知したかどうかは微妙な問題です

ね?』

★回答

そうですね。

税務調査があったことを予知したと認められる後に、自主的に納

付した場合は、「告知を予知した」ことになります。

しかし、次の3つのケースは「告知を予知してない」とされます。

(1)税務調査の日時の連絡があった段階で納税してた場合

(2)税務署が電話等で納付確認を行った結果、自主的に納付された

 場合

(3)説明会等により一般的な説明を受けて、自主納付した場合

☆質問

『なるほど、分かりました』

『ところで、源泉所得税を期限後に納付して、ペナルティーをま

るっきり受けないケースはないのですか?』

『チョッときびし過ぎるような気がします』

★回答

はい、実はあるんです。

期限後納付になったことに正当な理由があると認められる場合は

ペナルティーはありません。

☆質問

『正当な理由とは、どういったことですか?』

★回答

税法解釈の取扱の変更、扶養控除申告書の記載誤り、金融機関の

事務処理誤りだとか、災害などが正当な理由にあたります。

☆質問

『そんな普段ではありっこないような理由ではなくて、単なる

「うっかり」で納税が遅れた場合の救済はないのですか?』

★回答

あります。

次の場合は正当な理由があるものとして取り扱われます。

それは、納期限の翌日から1ヶ月以内に納付され、かつ、次のいず

れかに該当する場合です。

(1)その直前1年分について納付の遅延をしたことがないこと

(2)新たに源泉徴収義務者となった者の初回の納期に係るものであ

 ること

☆質問

『なるほど、税務署もやさしいとことがあるのですね』

★回答

誰でも「うっかり」はありますからね。

余計なペナルティーを支払わないのも節税のひとつです。

期限管理はキッチリとやりましょう。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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