☆質問
『私は、コンピュータの技術者をクライアントの会社に常駐させ
て、プログラミング等の作業を行って対価を得る会社を経営して
います』
『最近、企業の個人情報漏えいの問題がよく報じられていますが、
その影響でコンピュータ技術者の扱いを変えざるを得なくなって
います』
★回答
4月1日から個人情報保護法が施行されますし、個人情報を悪用し
た詐欺事件も続発していますからね。
ところで、コンピュータ技術者の扱いを、どのように変えざるを
得なくなったのですか?
☆質問
『いままでは、当社と技術者との関係は請負契約を前提にしてい
ました』
『ところが、クライアントから技術者を派遣の形で提供するよう
に要請されています』
★回答
なるほど。
派遣の形ということは、あなたの会社と技術者との関係は雇用契
約の関係となります。
つまり、派遣とは会社と雇用契約関係にある社員をクライアント
においてその指揮命令下で働かせることを意味します。
☆質問
『派遣によるとクライアントはどのようなメリットがあるのです
か?』
★回答
派遣だとクライアントが技術者を自社の指揮命令下に置けるため、
自社の就業規則や個人情報保護規定を遵守させることができるわ
けです。
☆質問
『なるほど、クライアントとしてはその方がやりやすいですね』
★回答
そのとおりです。
しかし、会社と技術者との関係が雇用契約関係となると、消費税
の扱いが大きく変わってきます。
☆質問
『えっ どのように変わるのですか?』
★回答
技術者に同じ報酬を支払っても、請負契約の場合はその報酬に消
費税が含まれているとみなし、雇用契約の場合はその報酬に消費
税は含まれていないと考えます。
技術者派遣の対価である売上高が735,000円で、技術者に支払う
報酬が500,000円とします。
消費税の計算は次のようになります。
◎請負契約の場合
「預った消費税」 735,000円×5÷105=35,000円
「支払った消費税」 500,000円×5÷105=23,809円
「納める消費税」 35,000円-23,809円=11,191円
◎雇用契約の場合
「預った消費税」は同じく35,000円ですが、500,000円に消費税は
含まれていないと考えますので、「支払った消費税」はゼロです。
したがって「納める消費税」は35,000円になります。
このように、雇用契約の場合は消費税の納税額が多くなってしま
うのです。
簡易課税を選択できる事業者は、派遣に移行した場合は簡易課税
を選択した方が節税になるケースが多いでしょう。
本則課税の場合は、涙を呑んで消費税を納めるしかありません。
なお、当事務所では派遣業の登録代行もやっておりますので、そ
の節にはご用命ください。
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。