☆質問
『父から贈与されたゴルフ会員権を昨年売却しました』
『確定申告で特に注意することはありますか?』
★回答
あります。
贈与や相続で取得した財産を売却した場合には、購入した財産を売却
した場合とで扱いが異なる点があります。
☆質問
『どんな点ですか?』
★回答
まず、売却した財産の取得日の扱いが異なります。
購入した財産であれば、購入日がその財産の取得日となりますが、贈与
や相続で取得した財産の取得日は、贈与した人や亡くなった人が取得
した日が取得日となります。
つまり、お父さんから贈与されたり、お父さんの相続により取得した財産
は、お父さんが取得した日が、贈与されたり相続により取得した人の財産
の取得日となります。
簡単に言うと、お父さんの取得日を引き継ぐと言うことです。
☆質問
『なるほど、譲渡する財産の所有期間を判定するのに重要なことですね』
★回答
次に、譲渡した財産の取得費、つまり譲渡した財産はいくらで取得したの
かということです。
購入した財産の場合は、その購入価額ですが、贈与や相続によって取得
した財産は、贈与した人や亡くなった人が取得した額が取得費となります。
つまり取得日と同様に、贈与したお父さんや亡くなったお父さんの取得費
を引き継ぐということです。
☆質問
『なるほど、ゴルフ会員権の売却額から差し引く取得費は、父がそのゴル
フ会員権を購入した金額になるということですね?』
★回答
そのとおりです。
売却価額が300万円で、お父さんが買った金額が200万円であれば、ゴル
フ会員権の譲渡利益は300万円-200万円=100万円と計算されます。
☆質問
『父から贈与を受けた後に、ゴルフ会員権の名義書換をして書換料30万円
を支払ったのですが、これは取得費に加算されないのですか?』
★回答
今年の1月までは、「取得費に加算されない」という扱いでしたが、「取得費
に加算される」という最高裁判所の判決が2月1日にあったことから、急遽
扱いが変わりました。
☆質問
『では、今回のわたしの確定申告では名義書換料を取得費に加算してよい
のですね?』
『つまり、譲渡利益を300万円-200万円-30万円=70万円として申告し
てよいということですね?』
★回答
そのとおりです。
この取り扱いは、贈与・相続により取得したゴルフ会員権だけでなく、贈与・
相続により取得した不動産についても適用されます。
つまり、贈与や相続によって取得した不動産の登記費用についても、その
不動産を売却した場合には、取得費に加算されるのです
☆質問
『なるほど。昨年に贈与や相続で取得した不動産を売却した人は、この確
定申告で登記費用を取得費に加算しないと損してしまいますね?』
★回答
そのとおりです。
☆質問
『このように不動産登記費用や名義書換料の取り扱いが変わった場合、過
去において既にこれらの費用を取得費に加算しないで申告した人は、救
済されないのですか?』
★回答
いいえ、そんなことはありません。
まず、平成15年分の確定申告で、名義書換料などを取得費に加算しない
で申告した人は、「更正の請求」という手続きにより税金を取り戻せます。
平成11年分から平成14年分の確定申告で、名義書換料などを取得費に
加算しないで申告した人は、「税務署長への嘆願書」という手続きで、税金
を取り戻すことが可能です。
特に平成11年分の確定申告で名義書換料などを取得費に加算しないで
申告した人は、「嘆願書」を遅くとも今年の3月10日頃までに税務署に提出
しないと手続きが日程的に間に合わなくなってしまいますので、早急な対応
が必要になります。
平成10年分以前で申告した人は、残念ながら救済されません。残念!
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