週刊節税教室

デザイン料の扱い

法人税・所得税
第152号 2004/9/27

☆質問

『デザインを法人ではなくて個人に依頼した場合は、その支払う報酬

から源泉所得税を預る必要があると聞いたのですが、本当ですか?』

★回答

本当です。

所得税法で「個人にデザインの報酬を支払う際には源泉徴収をしなけ

ればならない」と規定されているのです。

☆質問

『具体的にはどのようなデザインがその対象となるのですか?』

★回答

以下のデザインです。

・自動車のデザインといった工業デザイン

・茶碗などのデザインであるクラフトデザイン

・広告やポスターのデザインであるグラフィックデザイン

・食品などの容器のデザインであるパッケージデザイン

・ネオンサインなどのデザインである広告デザイン

・室内装飾などをデザインするインテリアデザイン

・ショーウィンドーなどのデザインであるディスプレイデザイン

・洋服のデザインなどの服飾デザイン

・ゴルフ場や遊園地などのデザイン

・映画の原画料、テレビのパターン製作料

☆質問

『ずいぶんありますね』

『ほとんどのデザインが含まれている感じですね?』

★回答

そうですね。

これらのデザインをやってもらった個人のデザイナーに支払う報酬から

源泉所得税を天引きして預らなければならないのです。

☆質問

『今回、自分の会社のホームページを個人の方に作ってもらったので

すが、やはり源泉所得税を取る必要があるのですか?』

★回答

これは難しい質問ですね。

所得税法基本通達というものの中に、ネオンサインなどのデザインと

その施工を一緒に請け負った個人に対する源泉徴収の扱いについて

記述されています。

そこでは、ネオンサイン製作料として一括して支払うような場合でも、

支払総額をデザインの報酬と施工の報酬に分けて、デザインの報酬

に対して源泉徴収をする必要があるとされています。

☆質問

『ホームページの製作も、同じようにデザインと製作に分けて、デザイ

ン報酬に対して源泉徴収する必要があるのですか?』

★回答

ネオンサインはデザインが勝負で、制作費に占めるデザインの比重が

多いのに対して、ホームページは同じ広告でもホームページの内容で

あるコンテンツが重要な比重を占めます。

ですから、ネオンサインの例と同じ扱いとするする必要はないと思わ

れます。

しかし、ホームページに特別な創作的なデザインを施して、そのデザ

イン自体を他の媒体に利用できるようなものであると話は違うことに

なるでしょう。

☆質問

『なるほど、一般的なホームページを作ってもらうのであれば、敢えて

デザイン報酬だけ抜き出して源泉徴収しなくてもよいということですね

?』

★回答

そうなると思います(私見です)。

源泉所得税を徴収し忘れると不納付加算税という重いペナルティーが

課されます。

節税も大事ですが、源泉徴収の仕組みをきちんと理解して、余計なペ

ナルティーを税務署に支払わないようにすることも大事です。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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