週刊節税教室

航空機リースで節税(2)

法人税・所得税・相続税
第136号 2004/5/31

☆質問

『航空機のリース取引で節税する全体の仕組みは良く分かりました』

しかし、確か新聞で「税務当局、航空機のリース取引による節税認め

ず」という記事が今年になってありましたが、これはどういうことなんで

すか?』

★回答

これは、投資家が個人であった場合です。

法人を投資家とする航空機リースに関しては、今現在でも盛んに

営業が行われています。

☆質問

『同じ航空機のリース取引でも、投資家が個人であるとダメと言わ

れ、法人だとOKと言われるんですか?』

★回答

そうなんです。

☆質問

『なぜ、投資家が個人だとダメなんですか?』

★回答

前回説明しましたが、航空機のリース取引はリースを始めてから

ず~と赤字で、終わりの方で黒字に転換して、最後に航空機の売

却益で大きく黒字になる取引です。

☆質問

『つまりリース取引全体を通しては黒字になるっていうことですよね?』

『はじめから損をする取引なんてしないですからね』

★回答

そのとおりです。

ですから、はじめは赤字で税金をセーブできても、航空機を売却し

て売却益を計上すると、そこで税金をセーブできた以上に納税す

るわけです。

つまり納税の先送りということになるのです。

投資家が法人であれば、まさにこのとおり、単に税金を先送りす

るだけの取引なのです。

しかし、投資家が個人ですと、話が違います。

☆質問

『どう違うのですか?』

★回答

最後の航空機の売却益に対する税金の扱いが法人とは違うの

です。

法人の場合は売却益がそのまま他の所得と合算されて税金が

計算されます。

一方、個人の場合は航空機の所有期間が5年を超えますので、

長期譲渡所得となり売却益の2分の1の額だけ他の所得と合算

されて税金が計算されます。

つまり個人投資家の場合は前半赤字で税金をセーブして、最後

にド~ンと売却益で課税されないのです。

ド~ンではなくて、その半分のドンと課税されるくらいです。

そうすると、リース取引全体で黒字が生じているのに、納める

税金よりセーブした税金の方が多くなることがあるわけです。

ですから、税務署も個人投資家だけを過度の節税対策として否

認してきたわけです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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