☆質問
『先日、私の会社に税務調査が入りました。いろいろ調べられましたが、
ひとつ釈然としない点があるので教えてください。』
『調査官が、交際費の支払いがある日と同じ日に支払われたタクシー
代をピックアップして、これらのタクシー代はすべて交際費として処理
すると言われました』
『本当にタクシー代まで交際費になるのですか?』
★回答
なるほど。
確かに同じようなことが過去の税務調査でもありました。
税務調査で目ぼしい成果が上がらないと、こういった細かいところまで
指摘することがあります。
☆質問
『なんか、やることがせこいですよね?』
★回答
確かに。
税法での交際費の定義は、以下のとおりです。
「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、
その得意先、仕入先その他事業に関係のあるもの等に対する接待、供
応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」
そして、これらの行為のために付随して支出する費用も交際費とされて
いるのです。
ですから、得意先を接待して夜遅くなり、タクシーで自宅まで帰った時の
タクシー代は交際費とされるのです。
☆質問
『なるほどね。そう説明されると仕方ないと思いますね。』
★回答
でも、交際費を支出した日とタクシー代を支払った日が同じだったら、機
械的にそのタクシー代をすべて交際費とするのは乱暴なやり方ですね。
☆質問
『それはどうしてでうすか?』
★回答
先ほどの交際費の定義を見れば分かるとおり、交際費になるのは接待、
供応、慰安、贈答等を「した」場合です。
逆に接待等を「された」場合の費用は交際費には当たりません。
得意先の創立10周年記念パーティーに招待され、その会場までのタクシ
ー代は招待を「された」ことにより支払われる費用ですので交際費にはな
らないのです。
このとき儀礼的に寸志を差し出せば、その寸志は交際費として処理する
ことになりますが、だからと言って同じ日に支払ったタクシー代も交際費
になることはないのです。
旅費交通費でOKです。
接待などを「した」「された」というのは、非常に微妙なところですが、一律
にタクシー代を交際費とされないために、接待の状況を文書で残すとよい
でしょう。
後々のトラブル解消になるのと同時に、節税にもなるからです。
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。