週刊節税教室

販売奨励金

消費税
第124号 2004/3/8

☆質問

『販売会社を経営しています。当社が販売した商品の数量に応じて、仕入

先から販売奨励金をもらっています。』

『この販売奨励金はどのように経理処理すればよいのですか?』

★回答

販売奨励金を受け取ったときの経理処理は、売上を計上する方法、雑収

入で処理する方法、仕入割戻しとして仕入のマイナス勘定で処理する方

法が考えられます。

☆質問

『そんなに処理方法があるのですか?』

『仕入のマイナスとしての仕入割戻しで処理したのでは、なんか営業に

張りが出ないので、奨励金売上という勘定を使って売上で処理します』

★回答

そうですね。その処理で問題ありません。

☆質問

『ところで販売奨励金を売上に計上して、消費税とかで損することはない

ですよね?』

★回答

消費税の計算では、注意しなくてはならないことがあります。

仕入先からもらう販売奨励金は、消費税では仕入のマイナスとして扱わ

れることになるのです。

☆質問

『経理処理で売上高として計上した販売奨励金が、消費税の計算では

仕入のマイナスとして処理されるのですか?』

★回答

そのとおりです。

ところで、消費税の申告は原則課税方式と簡易課税方式のいずれでさ

れていますか?

☆質問

『簡易課税です』

★回答

それでしたら、消費税の申告の際に注意しなければなりません。

販売奨励金が売上高として処理されているからといって、他の売上高

と一緒にして消費税の計算をすると、消費税を余計に支払うことになっ

てしまいます。

☆質問

『なぜですか?』

★回答

たとえば販売奨励金が100で他の売上が1,000とします。

簡易課税を採用している小売業の場合、売上高に1%を掛けた額が消

費税の納税額となります。

販売奨励金を売上高に含めた1,100に1%を掛けると納税額は11となり

ます。

しかし、販売奨励金はそもそも消費税法では仕入のマイナスになり、た

とえ決算書で売上高として計上されていても、消費税の計算では売上

高から除かなければなりません。

すると、販売奨励金を除いた売上1,000に1%が掛けられて、納税額は

10となるのです。

消費税が1だけ少なくなります。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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