☆質問
『平成16年度の税制改正で不動産の譲渡に関する改正があると聞いたの
ですが?』
★回答
はい、新しく「特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除」という制度がまず
できました。
これは、所有期間5年超の住宅ローンの残高を有している居住用不動産を
売却して損失が生じた場合、「住宅ローン残高-譲渡金額」の額を限度に
譲渡損失を翌年以後3年間において繰り越して他の所得との通算(相殺)を
認めるという制度です。
☆質問
『自宅を売却したけれども、売却額よりローン残高が多い場合に、譲渡損
を繰り越して、他の所得とも相殺できるということですね?』
★回答
そうです。
また、不動産を譲渡して益が出た場合の税率が下がりました。
所有期間が5年を超える長期譲渡所得の税率が26%から20%に、所有期
間5年以内の短期譲渡所得の税率が52%から39%に引き下げられました。
しかし、良いことだけではありません。
長期譲渡所得において、売却益から100万円を引ける100万円の特別控除
は廃止になりました。
そして、あまり報道されていませんが、含み損を抱える不動産をお持ちの方
にとって衝撃的な改正があります。
☆質問
『衝撃的な改正って、どのような改正ですか?』
★回答
平成16年税制改正大綱に次のような文章が入っています。
「土地、建物等の長期譲渡所得の金額又は短期譲渡所得の金額の計算上
生じた損失の金額については、土地、建物等の譲渡による所得以外の所得
との通算及び翌年以降の繰越を認めない。」
「(注)上記の改正は、平成16年分以後の所得税及び平成17年度分以後の
個人住民税について適用する。」
☆質問
『来年から、はじめに説明してもらった「特定の居住用財産の譲渡損失の繰
越控除」や「特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除」
以外の不動産の譲渡について生じた損失は給与所得と相殺もできなければ、
青色申告している場合に認められた損失の3年間の繰越もできないということ
ですね?』
★回答
そうなんです。
含み損のある不動産を売却して、損失を実現させることにより給与所得や
他の所得と相殺するといった節税ができなくなるのです。
また、青色申告をしている場合には、他の所得と相殺しきれない損失を翌
年以降3年間繰り越して、その間に他の所得と相殺するということもできなく
なります。
これは、大きな影響があります。
☆質問
『売却するとしたら、今年中にしなければならないということですか?』
★回答
そのとおりです。
取り敢えず、今年中に売買契約書を締結しておく必要があります。
不動産の譲渡は、契約日と引渡し日のいずれかの日付を譲渡日として選
択できるからです。
売買契約書に公証人役場で確定日付を受けて、年内に契約したものであ
るとの証拠を残しておくと確実です。
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