☆質問
『先日テレビで弁護士を開業している夫が税理士の妻に支払った税理
士報酬が夫の必要経費として認められたとか認められなかったとか言
ってましたが、何のことやら分かりません。教えてください。』
★回答
今年の6月27日と7月16日に東京地方裁判所で、ふたつの違った
結果の判決がありました。
6月の判決は、弁護士の夫から同じく開業している弁護士である妻に
支払った弁護士報酬が、夫の必要経費になるかどうかというものでし
た。
☆質問
『いくら夫婦間といっても、妻も独立開業している弁護士であれば、
その弁護士報酬として支払った金額は夫の必要経費になるのではない
のでしょうか?』
★回答
そう考えるのが普通ですが、所得税法では「生計を一にする配偶者そ
の他の親族が、事業者の事業に従事したことによる対価の支払は、事
業者の必要経費になりません」という規定があるのです。
☆質問
『何で、そのような規定があるのですか?』
★回答
「生計を一にする」とは財布の紐を一緒にして生活している状況を言
いますが、このような状況にある親族間で自由に対価が支払われると
、事業者の所得を意図的に家族に分散して不当に税金の負担を減らす
ことができるためです。
このような方法での税負担の回避を防止するために規定されています。
☆質問
『なるほど、で、弁護士(夫)から弁護士(妻)に支払った弁護士報酬
は、結局夫の必要経費として認められたのですか?』
★回答
このケースは裁判で認められませんでした。
ところが、7月の裁判の結果は違いました。
こちらは、弁護士である夫が税理士である妻に税理士報酬を支払った
ケースです。
☆質問
『ケースとしては、6月の弁護士から弁護士に支払った裁判と同じで
すよね。』
★回答
そうですね。支払った相手が妻である弁護士か税理士かの違いだけで
す。
その違いだけで判決結果が異なったわけではないと思います。
裁判官が、税法の規定にそのまま当てはめて判決を出したのか、規定
はそうだけれども経済実態を優先して判決を出したのかの違いではな
いでしょうか。
☆質問
『そういうこともあるのですね?』
★回答
そうですね。
でも、いずれが正しいのか明確な結論を出してもらいたいところです。
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