週刊節税教室

相続時精算課税制度の年齢

相続税・贈与税
第87号 2003/6/9

☆質問

『今年から始まった相続時精算課税制度で、贈与する人と贈与される

人で、年齢制限があると聞いたのですが、教えてください』

★回答

はい。

相続時精算課税制度は親から子へ財産を贈与する場合に、通常の場合

は2,500万円まで、住宅取得資金の贈与の場合は3,500万円まで税金を

贈与時にかけないで、親の相続時に税金を精算するというものです。

年齢制限は、住宅取得資金の贈与の場合と、それ以外の贈与の場合と

で違ってきます。

☆質問

『まず、通常の贈与(2,500万円限度)の場合はどうでしょうか?』

★回答

通常の贈与の場合は、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与といっ

た年齢制限があります。

☆質問

『住宅取得資金の贈与の場合はどうでしょうか?』

★回答

この場合は、贈与する親の年齢制限はありません。

贈与される子の年齢は20歳以上であることが必要です。

☆質問

『住宅取得資金の贈与の場合は、贈与する親の年齢に制限がないとい

うことですが、次のようなケースではどのようになりますか?』

『3,500万円の非課税枠の内、住宅取得のために55歳の父から1,500万

円贈与を受け、その2年後に父から2,000万円の株式の贈与をうけた』

★回答

なるほど、住宅取得資金の贈与は親の年齢が65歳未満でもOKですが、

2年後の株式の贈与は住宅取得資金の贈与でないことから親の年齢が

2,500万円枠の65歳以上でなくてはなりません。

したがって、株式の贈与時の親の年齢は57歳で、65歳以上の条件をク

リアーしていないのではないかということが問題となります。

☆質問

『そうすると、株式の贈与は非課税でなくなるのですか?』

★回答

いいえ。このようなケースでは、2,500万円非課税枠の年齢条件は65

歳未満でも認められることが明らかとなりました。

☆質問

『はじめから2,500万円の非課税枠を使おうとすると、親が65歳以上であることが

必要ですが、はじめに住宅取得資金の贈与の3,500万円の非課税枠を使うと、

その枠の残りで住宅取得資金以外の贈与をしても、65歳以上の条件に縛られな

いということですか?』

★回答

そのとおりです。

ですから、65歳未満の親で子供にたくさんのお金を贈与したい場合

には、住宅取得資金の贈与を1千万円して、その後2,500万円までの

住宅取得資金以外の贈与をすれば非課税となります。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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