週刊節税教室

株式投資は個人、法人?

法人税・所得税
第81号 2003/4/28

☆質問

『第43号の「法人での株式投資」から証券税制にかなりの変更があったと

思いますが、現行税制で株式投資を法人でやる場合と個人でやる場合との

有利不利を教えてください』

『まず、株式投資で利益が出た場合はどうでしょうか?』

★回答

利益が出た場合は、個人の方が有利です。

平成15年から平成19年までの利益にかける税率が10%となりました。

法人では法人税率だけでも最低22%です。

☆質問

『では、株式投資で損失が出た場合はどうでしょうか?』

★回答

個人において平成15年から株式投資での損失を3年間繰越す制度ができま

した。

例えば、今年200万円の株式売却損が出たとすると、翌年から3年間に株式

売却益が200万円出ても、今年の損失と相殺されて税金を払う必要がないの

です。

法人では5年間にわたって損失を繰越す制度がありますが、個人においても

期間は3年間ですが同様の制度ができたわけです。

☆質問

『配当金についてはどうですか?』

★回答

個人の場合に年間1銘柄10万円以下の配当金については申告不要という小

額配当の制度がありますが、この制度の10万円以下という制限が廃止され

上場株式等の配当金であれば金額にかかわらず申告不要となりました。

法人で配当を受け取った場合には申告義務があります。

なお、個人の場合申告不要と言いましたが、当然確定申告をしても良いわけ

です。配当控除により申告したほうが有利になる場合があります

☆質問

『株式売買の税金の計算はどの株をいついくらで買って、いくらで売ったと

いうことを管理しなければならず、非常に面倒かと思いますが、なにか良い

方法はありませんか?』

★回答

あります。

個人の場合は、特定口座制度を利用すると良いでしょう。

売却益売却損の計算を証券会社がすべてやってくれる制度です。

特定口座制度のうち、株式売却益に対する税金を天引きしてくれる制度を利

用すると、確定申告をする必要がありません。

☆質問

『なるほど。ここまでの話では株式投資は個人でやったほうがよさそうです

ね?』

★回答

そうですね。

今年からの新証券税制は個人投資家に対する税優遇をメインにしたものです

から、そうのような結論になるかもしれません。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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