週刊節税教室

リース or 買取り

法人税
第28号 2002/4/8

☆質問

  『コンピューターシステムを導入しようと思います。代金は500万円程になる予定 

   ですので、リース契約によろうかと考えています。注意すべきことを教え

   てください。』

 ★回答

   税務上、リース取引のうち一定の要件を満たすものについては、一般のリース

   とは異なった取り扱いをする事とされています。

  1.「リース取引」となるのは、以下の要件のすべてに当てはまるものをいいます。

   1)リース期間の中途で契約を解除することが出来ないもの

   2)リース物件の代金、資金コスト、保険料、固定資産税などリース取引に要す

    る費用の全額をリース料で支払うもの

  2.上記1のリース取引のうち、次の4つのいずれかに当てはまる場合は、賃貸借

   ではなく、リース資産の引渡しの時に売買があったものとして取り扱われます。

   1)リース終了時又は中途に、リース物件を無償で取得できるリース

   2)リース終了時又は中途に、リース物件を安く買い取ることができる権利が

    あるリース 

  3)リース物件の種類・用途・設置の状況に照らし、そのユーザーのみ使用される

    物件のリース(他に転用できないリース)

   4)リース期間が、法人税等の負担額を著しく軽減するように設定されたリース

  よって、形はリース契約でも、税務上は、売買取引とみなされ、買取と同様の

  扱いとなるリース契約もありますので、注意が必要です。

☆質問

  『売買取引とみなされないリース契約の予定です。買取の場合と比較して、

   税務上どちらがお徳でしょうか?』

★回答

  以下の設例で検討してみましょう。

    代   金    5,000,000円  

    減価償却    耐用年数5年、定率法

    リース期間   4年

    リース料率   110%(リース総額 5,500,000円)

          リース取引     買取り

          (リース料) (減価償却費) (償却資産税)

1年目 1,375,000       1,845,000    57,000

2年目 1,375,000      1,164,195  35,900

3年目 1,375,000       734,607   22,700

4年目 1,375,000       463,537    免税

  計  5,500,000 A  4,.207,339 + 115,600 = 4,322,939 B

  4年間でリースの場合は資金負担が軽微なのにもかかわらず、金利を含めて

  Aの550万円が経費算入できます。一方、買取の場合は当初500万円の資

  金負担をしたのにもかかわらず、4年間で固定資産税である償却資産税を含

  めてBの約430万円しか経費算入できません。

  これだけ見るとリースの方が節税効果が高いこととなるようです。

☆質問

  『その他に、リース取引のメリット、デメリットはありますか?』

★回答 

  以下の点があげられます。

    メリット

      -手元資金が少なくても設備投資が可能

      -事務処理の簡素化(減価償却手続きなどの専門的な知識が不要です)

      -発生費用の管理・把握が容易

      -陳腐化する資産を短いサイクルで設備改修

      -廃棄時、廃棄物処理法による処理が不要(リース会社が処理)

    デメリット

      -所有できない  

      -現金総支出は大(金利・手数料の支払のため)

      -減価償却による利益調整が不可能

  よって、税金だけでなく、会計上・経営上の総合的な判断によって、取得手段の

  選択が必要であると考えます。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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