☆質問
『コンピューターシステムを導入しようと思います。代金は500万円程になる予定
ですので、リース契約によろうかと考えています。注意すべきことを教え
てください。』
★回答
税務上、リース取引のうち一定の要件を満たすものについては、一般のリース
とは異なった取り扱いをする事とされています。
1.「リース取引」となるのは、以下の要件のすべてに当てはまるものをいいます。
1)リース期間の中途で契約を解除することが出来ないもの
2)リース物件の代金、資金コスト、保険料、固定資産税などリース取引に要す
る費用の全額をリース料で支払うもの
2.上記1のリース取引のうち、次の4つのいずれかに当てはまる場合は、賃貸借
ではなく、リース資産の引渡しの時に売買があったものとして取り扱われます。
1)リース終了時又は中途に、リース物件を無償で取得できるリース
2)リース終了時又は中途に、リース物件を安く買い取ることができる権利が
あるリース
3)リース物件の種類・用途・設置の状況に照らし、そのユーザーのみ使用される
物件のリース(他に転用できないリース)
4)リース期間が、法人税等の負担額を著しく軽減するように設定されたリース
よって、形はリース契約でも、税務上は、売買取引とみなされ、買取と同様の
扱いとなるリース契約もありますので、注意が必要です。
☆質問
『売買取引とみなされないリース契約の予定です。買取の場合と比較して、
税務上どちらがお徳でしょうか?』
★回答
以下の設例で検討してみましょう。
代 金 5,000,000円
減価償却 耐用年数5年、定率法
リース期間 4年
リース料率 110%(リース総額 5,500,000円)
リース取引 買取り
(リース料) (減価償却費) (償却資産税)
1年目 1,375,000 1,845,000 57,000
2年目 1,375,000 1,164,195 35,900
3年目 1,375,000 734,607 22,700
4年目 1,375,000 463,537 免税
計 5,500,000 A 4,.207,339 + 115,600 = 4,322,939 B
4年間でリースの場合は資金負担が軽微なのにもかかわらず、金利を含めて
Aの550万円が経費算入できます。一方、買取の場合は当初500万円の資
金負担をしたのにもかかわらず、4年間で固定資産税である償却資産税を含
めてBの約430万円しか経費算入できません。
これだけ見るとリースの方が節税効果が高いこととなるようです。
☆質問
『その他に、リース取引のメリット、デメリットはありますか?』
★回答
以下の点があげられます。
メリット
-手元資金が少なくても設備投資が可能
-事務処理の簡素化(減価償却手続きなどの専門的な知識が不要です)
-発生費用の管理・把握が容易
-陳腐化する資産を短いサイクルで設備改修
-廃棄時、廃棄物処理法による処理が不要(リース会社が処理)
デメリット
-所有できない
-現金総支出は大(金利・手数料の支払のため)
-減価償却による利益調整が不可能
よって、税金だけでなく、会計上・経営上の総合的な判断によって、取得手段の
選択が必要であると考えます。
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