週刊節税教室

退職者の還付申告

所得税
第22号 2002/2/25

☆質問

  『私は昨年会社を退職してその後就職もしなかったのですが、確定申告

  をした方が良いのでしょうか?』

★回答

  はい、再就職して年末調整を受けていなければ給料から天引されていた

  源泉徴収税額が清算され還付されることになるでしょう。

☆質問

  『なぜ還付されるのですか?』

★回答

  例えば、毎月50万円の給与をもらっていて毎月3万円の源泉税が給与

  から天引されてて、昨年の8月に退職したとします。

  毎月の源泉税は年間給与が50万円×12ヶ月の600万円になることを

  想定して給与から天引されます。

  それが8ヶ月で退職したわけですから昨年の年間給与は50万円×8ヶ

  月の400万円となりました。

  しかし源泉税は年間600万円の給与となることを想定して毎月天引され

  ていたわけですから、当然天引し過ぎになります。

  この天引し過ぎの源泉税を確定申告で清算することにより税金が還付さ

  れるのです。

☆質問

  『退職金ももらっていたのですが、これも一緒に申告しなくてはなりませ

  んか?』

★回答 

  退職金は分離課税といって、通常は辞めた会社が退職金から既に所得

  税と住民税を天引して納税を済ませています。

  退職金は毎月の給与から天引される暫定的な源泉税と違って支給金額

  が確定しているため、退職金支給時点で税金が全て清算されているの

  です。

  ですから、確定申告に含めなくても問題はありません。

  しかし、現行の20%の特別減税は今お話しした退職金における税金の清

  算では考慮されていませんので、このままでは損になります。つまり、特

  別減税の額だけ多く天引され納税していることになります。

  したがって、更なる還付を受けるためにも退職金も確定申告に含めた方が

  良いでしょう。  

☆質問

  『退職後に職安から失業保険をもらったのですが、これも申告に含めるの

  でしょうか?』

★回答

  失業保険は非課税となっているため、申告の必要はありません。

  税務署は税金を多く払いすぎても「オイオイ君、税金を多く払いすぎている

  よ!」なんて言ってくれません。

  税金を取る時にはタンスの中まで調べるのに、戻す方は無関心です。

  納税者が自ら税を知るしかありません。

  ●国税庁のタックスアンサーのホームページに確定申告のシミュレーション

   コーナーが掲載されています。

   なかなかのできばえのいわゆるASPです。

   電子申告をイメージしたソフトです。

   皆さんもアクセスしてみられたらどうでしょうか。

   http://www.taxanser.nta.go.jp/

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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