週刊節税教室

寄付金の意外な効果

所得税
第6号 2001/11/5

☆質問

  『先のアメリカ合衆国で発生した同時多発テロに心を痛め、日本赤十字社

  に対して、義援金5万円を寄付しました。税金から控除されますか?』

★回答

  テロに対する義援金を日本赤十字社に拠出したとすると、所得税法上、

  所得の控除を受けることが出来ます。

  そのためには、日本赤十字社から受けた「受領証」を添えて、確定申告

  しなければなりません。

  この場合、あくまでも所得税計算の元になる所得から控除されるもので

  あって、税金から控除されるわけではありません。

  よって、寄付金による節税額は

  (ご質問の方の所得金額に対する税率が10%としたら)

    (5万円-1万円)×10%=4,000円

  となります。(1万円が引かれる決まりになっています)

☆質問

  『寄付金控除の制度では、寄付した金額の税金が戻ってくるわけでは

  ないのですね。

  手間がかかりそうなので、確定申告するのを止めようと思うのですが』

★回答

   この制度によって、寄付した金額の税金が戻ってくるわけではありませ

  んし、 面倒だというのも分かります。

  しかし、寄付金控除制度には意外な効果がありますので、ぜひとも

  確定申告をして下さい。

  普通、税金の使い途について、我々国民は国に対して注文をつける

  ことは出来ません。しかし、(上の例によると)5万円の寄付金控除を

  申告することによって、4千円だけ税金を低く抑えることができ、その

  分だけ、税金について納税者の意思を表明することが出来るのです。

  ささやかな金額ですが、有効に使っていただきたい4千円ですね。

☆質問

  『寄付をする相手に制限はありますか?』

★回答

   寄付金の控除が認められるのは、国・地方公共団体、社会福祉法人

  など特定の団体に支出した寄付金や特定の政治献金などに限られます。

  例えば、母校の私立高校に寄付をしたとします。その寄付金が教育に対

  する助成を目的とした団体に行われたのであれば、この制度が適用され

  るでしょう。しかし、高校の後援会などに対して行われたものであれば、

  適用は難しいと思われます。

  また、最初の質問のテロに対する義援金をアメリカ赤十字に対して直接

  寄付したとしますと、効果は同じなのですが、控除の対象とはなりません。

  従って、寄付を行う前に相手の団体などに控除の対象になるか否かを

  問い合わせるのがいいでしょう。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為