【先 生】
「さて、前回は、個人事業者が年の途中から事業を始めた場合の特定期間はどのように捉えるのか?というところで終わったのだったわね?」
【生徒♂】
「うん、そうだよ。例えば、前年の6月1日から新たに商売を始めた個人商店なんかだと、前年の1月1日から5月31日までの間は、商売をしていない訳だから、こういう場合の特定期間はどうなるのかな?」
【先 生】
「個人事業者の場合の特定期間というのは、単純に暦年に従って前年の1月1日から6月30日の間を捉えればいいの。だから、例えば前年の6月1日から商売を始めたとしても前年1月1日から6月30日まで間における課税売上高をもって判定する事になるのよ。」
【生徒♂】
「今の例だと、前年1月1日から5月31日までの期間は、商売をしていないんだから、特定期間の内、課税売上高が発生しているのは、6月1日~6月30日までの1ヶ月間しかないけど、その1ヶ月分の課税売上高を6ヶ月分に換算したりするのかな?」
【先 生】
「いいえ。6ヶ月分への換算は不要よ。個人事業者の場合は、単純に前年1月1日から6月30日までの期間において発生した課税売上高を捉えればOKなの。だから今の例で言えば、6月1日~6月30日の間における課税売上高をもって、特定期間における課税売上高とするのよ。」
【生徒♂】
「なるほど。個人事業者の場合は、とてもシンプルなんだね。じゃあ、今の例で言うと、6月1日~6月30日の間における課税売上高が1,000万円以下で、且つ、基準期間の課税売上高も1,000万円以下であれば、その年における納税義務は免除されるって訳だね?」
【先 生】
「別段の定めに該当する場合を除いて、基本的には納税義務が免除される事になるわね。」
【生徒♀】
「個人事業者の場合は、分かり易くて助かるけれど、法人の場合の判定はどうなりますの?」
【先 生】
「実は、法人の場合は、個人事業者のように単純ではないのよ。」
【生徒♂】
「そうなんだ。判定方法が難しいのかな?」
【先 生】
「判定方法というよりも『どこが特定期間となるか?』の見極めが難しいケースがあるの。」
【生徒♀】
「法人の場合の特定期間って『前事業年度開始の日以後6月の期間』ではありませんの?」
【先 生】
「原則はそのとおりなのだけれど、法人の場合は、特例があるのよ。」
【生徒♂】
「う~む・・・またしても“特例”だね。参ったねこりゃ・・・」
【生徒♀】
「私、“特例”って言葉がトラウマになりそうですわ・・・」
【先 生】
「まあまあ・・・ここで萎(しぼ)まずに話を聞きなさいな。今回はここまでとするから。では次回は、法人の特定期間についてお話しするわね。ではまた次回!ばいばい!」