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週刊税務調査日記

無申告の調査 (3)

第430号 2016/11/2

★納税者

「推計課税って何ですか?」

■会計事務所

「本来は、納税者の取引資料をもとに売上計上漏れなどの金額を税務署は計算するのですが、取引資料そのものがないような場合に、収支状況や生産量などの間接的な資料から修正事項の金額を算定することを推計課税と言います」

★納税者

「なるほど」

「で、私の場合はどうなるのですか?」

●税務署

「通帳の入金金額を集計して、それを売上高とします」

「粗利益は、直近の決算書の粗利益率を売上高に乗じて計算します」

「経費も直近の決算書における粗利益に占める経費の割合を推計した粗利益に乗じて計算します」

★納税者

「そのやり方しかないですよね?」

●税務署

「そうですね」

「これしかないと思います」

★納税者

「分かりました。それでお願いします。」

●税務署

「では、集計ができましたら、また連絡いたします」

10日後に調査官から集計ができた旨の連絡がありました。

●税務署

「集計の結果は、この通りです」

★納税者

「納税額はいくらになるのですか?」

●税務署

「3年間で120万円ほどです」

★納税者

「分かりました、これで結構です」

●税務署

「では、修正申告書を私が作成して、納付書とともに後日お送りいたします」

そう言って調査官は税務署に帰っていきました。

■会計事務所

「あっさりと推計課税の税額を認めましたけれど、あれでよいのですか?」

★納税者

「税務署は直近の決算書から経費率を計算していますが、無申告の時代は実質私一人で、今みたいに経費が掛かっていませんでしたので、得した気分です」

■会計事務所

「3年間で120万円くらいの納税で助かったということですか?」

★納税者

「そうですね」

「正直言って、500万円くらいは覚悟していましたから・・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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