【生徒♂】
「ねぇ先生、本来なら免税事業者になる筈だった事業者が、課税事業者を選択する事により課税事業者になった場合、それを取り止めるには、どうすればいいの?」
【先 生】
「その場合にはね、『消費税課税事業者選択不適用届出書』を所轄税務署長へ提出する必要があるわ。」
【生徒♀】
「それは、何時までに提出すればよろしいのですの?」
【先 生】
「この届出書は、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までに提出する必要があるわ。」
【生徒♂】
「初日の前日って事は、例えば来期から免税事業者に戻りたいっていう場合は、今期中に課税事業者選択不適用届出書を提出しておかないとダメって訳だね?」
【先 生】
「そのとおりよ。」
【生徒♀】
「あれ?確か、課税事業者を選択した場合においてそれを取り止める際には、何か制限があったような気がしますわ。2年間がどうたらこうたらっていう・・・」
【先 生】
「『どうたらこうたら』じゃないわよ。そこはとても重要な論点なのよ。まったくもう・・・。」
【生徒♂】
「まあまあ、先生。そう怒りなさんなって。小皺が増えちゃうよ?」
【先 生】
「余計な口をきいていると蹴っ飛ばすわよ。まあいいわ・・・課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった場合には、その提出により初めて課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、課税事業者選択不適用届出書を提出する事は出来ないのよ。」
【生徒♀】
「つまり、課税事業者を選択してから2年間は、課税事業者選択不適用届出書を提出できないって事ですの・・・?」
【先 生】
「う~ん・・・その認識は正しくないわね。課税事業者選択不適用届出書の提出時期について、『2年間は提出する事が出来ず、3年目になれば提出出来る』って勘違いするケースがあるのよね・・・」
【生徒♂】
「えっ!2年間提出できないって意味じゃないの?」
【先 生】
「違うわ。例えばね、2年間提出する事が出来ず3年目、つまり第3期目に提出できたとするじゃない?」
【生徒♀】
「ええ。」
【先 生】
「その課税事業者選択不適用届出書の効力が生じるのは、『提出があった日の属する課税期間の末日の翌日以後』からなの。つまり、『提出があった日の属する課税期間の翌課税期間』から効力が生じるって訳。」
【生徒♂】
「そっか・・・もし、第3期目に提出したとすると、その効力が発生するのは第4期目からって事になるから、そうなると課税事業者である期間が計3年間(期間)という事になってしまうね。」
【生徒♀】
「確かにそうですわね。では、『2年間』っていうのは、どういう意味ですの?」
【先 生】
「具体例を挙げた方が分かり易いわね。例えば、課税事業者選択届出書を提出して初めて課税事業者になった課税期間が、次のとおりだったとするわね。」
■(初めて課税事業者になった課税期間)平成27年4月1日~平成28年3月31日
【生徒♂】
「うん。」
【先 生】
「ここで改めて再確認するけれど、課税事業者選択不適用届出書を提出する事が出来るのは、『課税事業者選択届出書の提出により初めて課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後』となっているの。」
【生徒♀】
「つまり、『2年を経過する日』が何時なのか?がポイントになるのですわね?」
【生徒♂】
「なるほど。じゃあ、この例の場合だと、『2年を経過する日』は何時を指すのかな?」
【先 生】
「この例の場合だと、『2年を経過する日』は、『平成29年3月31日』が該当日となるわ。」
【生徒♀】
「という事は、課税事業者選択不適用届出書を提出する事が出来るのは、平成28年4月1日~平成29年3月31日までの課税期間中って事になりますわね?」
【先 生】
「そのとおりよ。」
【生徒♂】
「そっか!そうなると、課税事業者選択不適用届出書の効力が生じるのは『その提出があった日の属する課税期間の末日の翌日以後』な訳だから、平成29年4月1日以降に開始する課税期間から免税事業者に戻れるって訳だね。」
【先 生】
「正解!そのとおりよ。でも課税事業者選択不適用届出書を提出したとしても別段の定めにより納税義務が発生するケースがあるから、十分に注意してね。」
【生徒♀】
「う~む・・・届出書の提出日をたった1日間違えただけでとんでもない違いが生じてしまいますわね。これは十分に気を付けないといけませんわね。」
【先 生】
「そうよ。特にそこのあなた!この世で最高のボケ面をしてないで気を付けなさいよ!」
【生徒♂】
「この世で最高のボケ面って・・・生徒に向かって酷い事を言うね。せめて『弛緩しきった顔』って言って欲しいもんだね。」
【生徒♀】
「どっちにしても『おバカ面』ですわね。」
【先 生】
「そうね♪ という訳で今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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