【生徒♀】
「さあ先生、調整対象固定資産を取得して消費税の還付を受けた事業年度の翌事業年度における問題点とは如何なるものなのか?について話して下さいな。」
【先 生】
「よしきた!じゃあいくわよ!」
【生徒♂】
「どこからでも来んしゃい!」
【先 生】
「通常、調整対象固定資産を取得する事業年度においては、本則課税方式を選択するのだけれど、調整対象固定資産の取得という特別事情が無ければ、その納税義務者が営む業種によっては、普段は簡易課税を選択していた方が消費税の納税額が少なく済んで有利となるケースもあるの。」
【生徒♂】
「へぇ~。例えばどんな業種だと簡易課税の方が有利になるのかな?」
【先 生】
「色々なケースがあるのだけれど、例えば『不動産賃貸業』が、これに該当するわ。不動産賃貸業における主な経費というと、役員や従業員の給与や減価償却費、不動産購入の為に借りた借入金の利息、所有している不動産の固定資産税等なのだけれど、これらの経費は、その支払いの際に消費税がかからないの。つまり、仮払消費税額が発生しないわけ。ところが売上となる家賃収入が事務所用等の家賃収入だったりすると仮受消費税額は発生してしまうの。」
【生徒♀】
「なるほど。つまり本則課税方式で申告するとなると、仮受消費税額から控除する仮払消費税額が少ない訳だから、納税額が増えてしまう、という訳ですわね?」
【先 生】
「そのとおり。だから不動産賃貸業等の場合は、簡易課税を選択するケースが多いの。簡易課税であれば、一定の方法で計算した金額を仮払消費税額とみなして仮受消費税額から控除する事が出来て、納税額が少なくて済むからね。」
【生徒♀】
「ん?ちょっと待って先生。もし、事務所用として賃貸する目的で建物を取得して、その取得した事業年度において消費税の還付を受けたとするじゃない?で、その翌事業年度以降を簡易課税によって申告する事が出来れば、その納税義務者にとっては、かなりのお得じゃありませんこと?」
【生徒♂】
「そうか!消費税の還付を受ける事によって現金が手元に戻って来て、その上、翌事業年度以降の消費税の納税額が減らせれば、手元に現金が残るものね。」
【先 生】
「いいところに気が付いたわね。実はこれこそが、以前に多く見受けられた課税事業者の選択と簡易課税の選択を組み合わせた消費税還付の手法なのよ。」
【生徒♀】
「う~ん・・・何やらきな臭い感じがしてきましたわね。それは具体的にどんな手法でしたの?」
【先 生】
「では次回は、現在では封じ込められてしまった消費税の還付手法についてお話しするわね。ではまた次回!ばいばい!」
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。