【先 生】
「さて、今回からは、国内取引に関して具体的な論点を勉強していく訳だけれど、国内取引の納税義務者は、どんな内容だったか覚えているかしら?」
【生徒♀】
「勿論覚えておりますわよ。国内取引における納税義務者は、『事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務がある』でしたわね?」
【先 生】
「正解!ちゃんと覚えていたのね。この納税義務者の意味をきちんと理解しておかないと大変な事になってしまうのよ。」
【生徒♂】
「確かにそうだね。消費税の納税義務があるか?無いか?つまりは、消費税を申告して納付する義務があるか?無いか?を取り違えてしまったらえらい事になってしまうものね。」
【生徒♀】
「1つ気になっているのですけれど、国内取引について言えば、事業者が事業として国内において課税資産の譲渡等を行った場合には、消費税を申告し納付する義務が生じますのでしょ?」
【先 生】
「そのとおりよ。それが大原則ね。」
【生徒♀】
「でもね、私の家の近所に駄菓子屋さんがあるのですれど、そのお店はおじいさんとおばあさんの二人だけで、小さい子供を相手にこじんまりと営んでいるお店なの。」
【生徒♂】
「小さい子供の遊び場にもなっているあの駄菓子屋さんだね。」
【生徒♀】
「ええ。そういうこじんまりとしたお店であっても、『事業者が、事業として国内において課税資産の譲渡等』を行っている限り、納税義務者に該当するのでしょ?」
【先 生】
「そうね。個人事業主として日本国内で駄菓子を売ってお店を営んでいれば、納税義務者に該当するわね。」
【生徒♂】
「そうなると、その駄菓子屋さんも税務署に対し、消費税の申告を行って納付する義務が生じてくるのかな?」
【生徒♀】
「でもおじいさんとおばあさんの二人だけで営んでいるお店にも消費税の申告義務を担わせるのって、何だか大変そうで可愛そうになってしまいますの・・・」
【先 生】
「確かにあなたの言うとおり、極めて小規模な事業者にまで消費税の申告・納付の義務を負わせるのは、その事務負担という観点から好ましくないと言えるわね。」
【生徒♂】
「そうだよね。何か助けてあげる方法は無いのかな?」
【先 生】
「安心して。ある一定規模以下の小規模事業者については、消費税を納める義務が免除されるのよ。」
【生徒♀】
「まあ!本当ですの?」
【先 生】
「本当よ。消費税法においては、『小規模事業者に係る納税義務の免除』という制度があってね、その制度の要件を満たせば、たとえ事業者として国内において課税資産の譲渡等を行っていたとしても消費税を納める義務が免除されるのよ。」
【生徒♀】
「そうなのですわね、良かった。具体的にどういう要件を満たせば、消費税の納税義務が免除されますの?」
【先 生】
「消費税法においては、『事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が、1,000万円以下である者については、その課税期間中に国内において課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する』と定めているの(消法第9条)」
【生徒♂】
「何やら難しそうだね・・・?」
【先 生】
「消費税の納税義務の有無については、いくつかの段階を経て判定する事になるのだけれど、その第一段階目として先ずは『基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるかどうか?』で判定するって訳。」
【生徒♂】
「“基準期間”って何のこと?」
【先 生】
「基準期間というのはね、個人事業主の場合と法人の場合とでそれぞれ異なっているのだけれど、個人事業主の場合は『その年の前々年』を指すのよ。」
【生徒♂】
「“前々年”って事は、今年からみると“2年前”ってこと?」
【先 生】
「そのとおりよ。」
【生徒♀】
「じゃあ、法人の場合はどうなりますの?」
【先 生】
「法人の場合は、原則として『その事業年度の前々事業年度』を指すのだけれど、その前々事業年度が一年未満の場合には、特例があるのよ。」
【生徒♀】
「“事業年度”とか、何やら聞き慣れない言葉が出てきて混乱してしまいますわ・・・」
【先 生】
「では、今回はここまでとして、次回は、基準期間についてもう少し詳しくみていく事にしましょうね。ではまた次回!ばいばい!」
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