☆【生徒】
会社(資本金1,000万円)を設立して1期目の決算がもうすぐ来ます。
しかし今期はまだ事業の準備段階で売上が立つ見込みがありません。
商品の仕入などで消費税を支払っていますが、申告すれば消費税は還
付されますか?
★【先生】
課税売上にのみ要する課税仕入に係る消費税は、申告により還付されま
す。
☆【生徒】
どのような手続が必要ですか?
★【先生】
消費税の計算は、課税売上に係る消費税から、課税仕入にかかる消費
税を差し引いて計算されます。
この計算において課税売上割合が重要なポイントになります。
☆【生徒】
課税売上割合とは?
★【先生】
課税売上÷(課税売上+非課税売上)で計算されます。
☆【生徒】
総売上に対する課税売上の割合ですね?
★【先生】
そうです。
この課税売上割合が95%以上の場合は、
消費税=課税売上に係る消費税-課税仕入に係る消費税
の計算で、課税仕入に係る消費税を全額引くことができます。
☆【生徒】
課税売上割合が95%を下回ると全額引けないのですね?
★【先生】
そうです。
課税売上割合が95%を下回るということは、非課税売上が全体の5%超
あるということになりますので、基本的には課税仕入に係る消費税のうち、
課税売上のために必要な額だけしか引くことができないことになります。
この計算方法として、個別対応方式と一括比例配分方式があります。
☆【生徒】
個別対応方式とは?
★【先生】
課税仕入に係る消費税を
(1)課税売上のみに要するもの
(2)非課税売上のみに要するもの
(3)課税・非課税売上に共通のもの
の3つに分けます。
そして(3)に課税売上割合を掛けた額と(1)の合計額が、課税売上に係
る消費税から引くことができる課税仕入に係る消費税となります。
☆【生徒】
よく分かりました。
一括比例配分方式とはどのようなものですか?
★【先生】
課税仕入に係る消費税×課税売上割合 で、課税売上に係る消費税から
引くことができる課税仕入額を計算する方法です。
☆【生徒】
今期の売上がゼロということは、課税売上がゼロということで、課税売上割合
もゼロとなりますよね?
★【先生】
そのとおりです。
そうすると、一括比例配分方式だと課税売上割合がゼロですので、課税売
上に係る消費税から引くことができる課税仕入に係る消費税はゼロとなります。
一方、個別対応方式を採用すると、(3)は課税売上割合を掛けますので
ゼロとなりますが、(1)だけは課税売上に係る消費税から引くことができる課
税仕入額となります。
課税売上がゼロですので、消費税は
「課税売上に係る消費税額ゼロ - 個別対応方式の(1)」 で計算され、
結果として個別対応方式を採用すれば(1)の「課税売上にのみ要する課税
仕入に係る消費税」だけ消費税が還付されることになるのです。
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