週刊なるほど!消費税

事例(不動産賃貸:1)

第223号 2007/05/28

【先生】

 前回で届出関係のお話は終わりです。今回からは具体的な事例

をあげてお話していきましょう。

【生徒】

 をっ!!ついに本編完結ってことですか?

【先生】

 いえ、近い将来消費税の改正が間違いなくあるでしょう。税率の

問題だけでなく地方への配分(現在国税の25%)や課税対象物品

の見直しなどどんな内容になるかまだまだ不透明です。

 改正時に改めて本編復活となる予定です。

【生徒】

 それまではとりあえずお茶を濁しておくんですね。

【先生】

 その表現は心外です。消費税への理解を一層深めてもらうため

の大切なお話・・・ということにしておいてください。

 さて、今回は不動産賃貸、特に個人で不動産賃貸をされている

場合についてみていきます。

【生徒】 

 個人で不動産・・・ブルジョワですね。小市民にはとてもとても。

【先生】

 不動産といっても、先祖代々の土地に大規模に、という場合も

あれば、バブル期に「節税になる」と甘い言葉にだまされて投資

用のワンルームマンションを買った、なんて場合も含まれます。

【生徒】

 ・・・もしかして買わされた口ですか?

【先生】

 いえ、あくまで例えです。

 ここでは、サラリーマンが給与所得のほかワンルームマンション

による不動産収入がある場合を想定してみます。

 まず個人の不動産賃貸が消費税の課税対象になるかどうかを

考えましょう。

 課税対象の基本は「事業者が事業として国内において対価を得て

行う資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供」です。

 物件が国内にあり、賃料をもらって貸していれば、国内において

対価を得て行う資産の貸付に該当します。

【生徒】

 あとは事業者かどうかってことですね。サラリーマンって個人事業

者ですか?

【先生】

 「サラリーマン」自体は個人事業者ではありません。ですが消費税

において「事業」とは「同種の行為を反復・継続・独立して遂行する」

ことです。

 不動産賃貸はまさにこれに該当しますので「事業」です。そして

その事業である不動産賃貸を行う人は事業者となります。

 「事業者が事業として」にも該当するので、不動産賃貸は消費税の

課税対象となります。

【生徒】

 所得税で不動産所得は確か事業的規模とかありましたよね?

【先生】

 所得税での不動産賃貸の事業的規模は「5棟10部屋基準」と

呼ばれるものです。これに該当すると青色申告が選択できたり

する基準です。

 ですがこれはあくまで所得税での話しです。消費税の「事業」と

は関係ありませんので注意しましょう。

◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為