【先生】
前回はちょっと寄り道しましたが、今回からまた非課税取引のお話に
戻ります。
【生徒】
そういえば住宅の貸付は総額表示とは関係ないんですよね?
【先生】
そうです。住宅の貸付(1ヶ月以上)であれば非課税取引ですので、
総額表示にしようにもそもそも消費税がかかりませんからね。
さて、居住用に家や部屋を借りると、家賃以外にも色々と支払いが
あります。
【生徒】
敷金、礼金、仲介手数料、共益費、更新料・・・
【先生】
敷金は保証料や権利金と言ったりもします。それらの支払いはどのような
取り扱いになるでしょうか?というのが今日のお話です。
【生徒】
全部ひっくるめて非課税取引ではいけないんですか?
【先生】
そう単純ではないんです。
まずは敷金(保証料・権利金)から見てみましょう。
敷金がどういうものかはいいですよね?
【生徒】
退去するときに修理費の名目でぼったくられるもの。
【先生】
・・・ぼったくられるかどうかは別として、敷金は基本的に退去時に返金
されるものです。将来返金されるものですから、敷金を支払ったときには
不課税取引となります。
但し、契約であらかじめ「敷金の1か月分は返却しない」「保証料の10%
を償却する」等、退去時に返金されないことが決まっている部分については、
課税の対象となり、物件が居住用であれば非課税取引となります。
【生徒】
退去時に修理費名目で戻ってこない部分はどうなるんですか?
【先生】
その場合には大家さんと借り手で分けて考える必要があります。
まず大家さんですが、入居者が退室した後に行った修繕のうち、入居者の
負担となる部分を敷金から差し引くということです。
つまり入居者のかわりに支払った修繕費を入居者から徴収するというだけ
ですので不課税取引となります。
大家さんが負担した修繕費はもちろん課税取引となります。
次に借り手側ですが、自分が負担する修繕費を大家さんに支払ったという
ことですので、課税取引となります。
【生徒】
入居者が負担しなくていいものまで敷金から差し引かれるから、色々もめる
んだよなぁ・・・
【先生】
逆に家賃払わず逃げちゃう人もいますし・・・性善説より性悪説を信じたくなり
ますね・・・
次に礼金、共益費、更新料ですが、これらは返金されるものではありません
ので、住宅の貸付の対価に含まれるものとして非課税取引となります。
【生徒】
更新料はまだしも礼金って未だに意味がよくわからない・・・
【先生】
最後に仲介手数料ですが、これは住宅を借りる対価として大家さんに支払う
ものではなく、大家さんと借り手の契約を仲介したことに対する不動産会社への
手数料ですので、役務提供の対価として課税取引となります。
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