【先生】
前回お話しました利子の内外判定ですが、ちょっと難しかったで
すね。これは利息を受け取る、あるいは支払うという取引が、国内
取引になるか国外取引になるか、というお話です。
【生徒】
その貸付なり預金をする事業者の所在地で判断するということ
でした。
【先生】
そうです。日本の会社が外国にある銀行に預金をして、利息を
もらった場合、利息を支払う側は国外にいますが、判定はあくま
で預金をした側の所在地でしますので、国内取引となります。
【生徒】
ついた利息がドルでもペソでもポンドでもマルクでもフランでも
ペセタでも、国内取引になるんですね。
【先生】
それでは今回は具体的な取引例について見ていきましょう。
判定のしづらい取引についてです。
日本の広告代理店が、国内の会社から商品の広告の依頼を受け
ました。広告の場所は海外です。
内容は国内での広告の企画・立案から、海外の広告媒体との交渉
や管理、実際の広告掲載まで一切を行うこととされています。
これらの業務は国内取引でしょうか、国外取引でしょうか?
【生徒】
・・・また一段と難しい・・・
迷ったときには原則に戻れって言いますよね。役務提供の場合は
役務提供を行った場所で判定するから・・・
広告は海外で行うってことで国外取引?
でも企画・立案は国内で行うって言うし・・・
もしかして国内と国外にわたって行われる取引になる??
【先生】
そうです。
広告の企画・立案などの製作業務は国内で行い、実際の掲載に
関する業務は海外で行い、これらの業務を一括して請け負っている
ということですから、国内及び国内以外の地域にわたって行われる
役務の提供となります。
その場合の判定基準は覚えていますか?
【生徒】
確か役務の提供を行う者の所在地ですよね?
【先生】
はい。
正確には役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の
所在地です。
この場合には、広告代理店は国内にありますので、国内取引
ということになります。
【生徒】
なるほど。海外での広告なので国外取引に感じますよね。
【先生】
仮に契約の内容が、海外での広告媒体への広告掲載のみという
ことでしたら、役務の提供場所が海外ということになりますので、
国外取引になります。
また、後々お話しする内容になりますが、広告の依頼主が海外の
会社であるような場合には、国内取引でかつ非居住者に対する役務
提供ということで、輸出免税の対象となることもあります。
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