【先生】
前回からは具体例の話をしていますが、実務上でのポイントは覚えていますか?
【生徒】
耐火性・・・じゃなくて対価性です。
【先生】
そうですね。
対価性が不明確だったり、贈与だったりした場合には、みなし譲渡などの「資産の譲渡等に含まれる行為」に該当しないかどうかを見ることも重要です。
ではまた具体例を見ていくことにしましょう。
まずは保険金の受取です。保険金がもらえるのはどういう時ですか?
【生徒】
歩道を歩いてたら居眠り運転のトラックが突っ込んできて骨折したり、アクセルとブレーキ踏み間違えて向かいの家の塀に激突したり・・・
【先生】
・・・やけに具体的ですね・・・
つまり保険金は事故や災害が発生したときに受け取るものです。
役務の提供や資産の譲渡の対価として貰うものではありませんので資産の譲渡等には該当しません。
【生徒】
でも毎月保険料支払ってますよ。保険料を支払った対価として受けるものではないんですか?
【先生】
そう考えたくなります。ですが、毎月保険料を払っているからといって必ず保険金が貰えるわけではありません。事故などが起こらない限り保険料は払いっぱなしで終わってしまいます。
ですので保険金は保険料の対価としてではなく、あくまで事故や災害などを起因として受け取るものと考えるんですね。
【生徒】
満期になると必ずお金がもらえる保険もありますケド・・
【先生】
それについては保険料の戻りと考えます。貯金と一緒ですね。保険料として預けていたお金が戻ってきただけなので、保険料の対価としてもらうわけではないということになります。
【生徒】
そういえば貯蓄性の保険とか言ったりしますね。
【先生】
似たような例に損害賠償金があります。
損害賠償金も事故などの損害の発生により受け取るものですので、対価性はありませんから資産の譲渡等にはあたりません。
【生徒】
この前店に並んでたお皿壊しちゃって、「弁償しろ!」とか言って買い取らされたんです・・・
これも損害賠償金になるんですよね?
【先生】
そのお皿はどうしてますか?
【生徒】
ちょっと欠けただけなんで、悔しいから思いっきり使いまくってます。
【先生】
その場合には資産の譲渡等にあたるでしょうね。
損害賠償金の名目でも、例えば
・損害を受けた資産が引き渡される場合で、その資産がそのまま又は
簡単な修理を加えれば使えるときに、その資産の価格に相当する
損害賠償金を受け取った
・ソフトの違法コピー等で権利の使用料に相当する賠償金を受け取った
・不動産明渡し遅延により賃借料に相当する賠償金を受け取った
などの場合には資産の譲渡等に該当します。
【生徒】
賠償金名目でも売買したのと同じ扱いということですね。
【先生】
そうです。
前回も言いましたが、対価性は実質で判断するんですね。
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