退職した従業員が経費の精算で不正を働いたということを聞いて、リーダー調査官の目が光りました。
●税務署
「経費の精算書を過去2年分用意していただけますか?」
▲納税者
「はい・・・」
「でも、他の領収書などと一緒に綴じてますので、精算書だけを抜き出すことはできないのですが?」
●税務署
「結構ですよ」
「領収書綴りを出していただければ、こちらで抜き出しますから」
▲納税者
「分かりました、用意します」
過去2年分の領収書綴りということで、税務調査が行われている会議室に膨大な量の領収書綴りが運び込まれました。
●税務署
「すごい量ですね」
▲納税者
「そうなんです」
「もう保管する場所がなくて・・・」
●税務署
「では、さっそく見させていただきます」
「一緒にやってもらえますか?」
稟議書類をぱらぱらめくっているサブ調査官に指示をします。
▲納税者
「わ~ すごいスピード」
リーダー調査官は、領収書綴りを滑り止めのゴムサックをつけた指でパパッとめくり、対象となる精算書が見つかると素早く付箋を貼っていきます。
一方、サブ調査官は明らかにやる気がなく、領収書綴りをぱらぱら一枚づつのんびりとめくっています。
2人の調査官は、ほぼ同世代の入社でしょう。50歳の後半でしょうか。
リーダー調査官は、やる気満々で闘志さえ見えます。
しかし、サブ調査官は見るからにやる気がなく、覇気が見えません。
定年までこのまま行けばいいや、といった感じです。
領収書綴りのチェックは翌日も行われました。
●税務署
「すみません。この付箋を付けた精算書のコピーをお願いしたいのですが」
▲納税者
「わかりました」
●税務署
「コピーを頼むものはないのですか?」
リーダー調査官がサブ調査官に聞いていますが、サブ調査官のチェックした領収書綴りはほんの少しで、付箋は一枚も貼っていませんでした。
「ありません」
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