退職していないのに退職金を計上したり、未払い計上した決算賞与をまだ支払っていないということを、納税者から調査前に告白されてしまいました。
いずれも税務調査では問題になるでしょう。
調査当日です。
●税務署
「おはようございます」
「よろしくお願いいたします」
50歳くらいの調査官です。
「調査は本日1日だけですので、手際よい調査をしなければなりません」
「そのためのご協力、よろしくお願いいたします」
かなり気合が入っています。
■会計事務所
「まぁ、お茶でもどうぞ!」
ここで世間話に乗ってくるかどうか探ってみます。
「最近の税務調査は広く浅くみたいですけれど、実際のところはどうなんですか?」
●税務署
「いや~ もう大変ですよ!」
「今週なんか月曜から金曜まで出ずっぱりです」
「今日だって1日の調査ですよ」
「この規模で考えられます?」
「今までであれば、2人で2日の調査ですよ、この規模では」
「それが私1人で調査は1日」
「考えられます?」
1人でしゃべって、1人で興奮してきました。
かなり話に乗ってくるタイプです。
さらに煽ります。
■会計事務所
「それは大変ですね」
「そんなに忙しくなっては、ストレスも溜まりますよね?」
●税務署
「そう、もう溜まりっぱなしですよ」
「上司は、今日はあっちに行け、明日はこっちに行け、と言うだけで、私の立場なんてぜんぜん考えていないですからね!」
「もう本当に厭になってしまいます」
「やってられません!」
内心、「仕事なのにな・・・」と思いつつ、同調します。
■会計事務所
「そうですよね」
「どこの組織も上司は口だけで、実際に足を使っている部下は大変ですよね」
「組織のことだけを考えるのではなくて、もっと手足となって働いている部下のことも考えるべきですよね?」
●税務署
「そのとおり!」
「やはり先生はよく分かっている」
「上司はまったくそのことが分かっていない!」
こんな調子で、約1時間が経ちました。
この後、会社の状況を雑談を交えて聞いて、もうお昼。
帳簿調査はまだ何もやっていません。
つづく
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