週刊税務調査日記

どうしても納得がいかない調査 (2)

第320号 2008/10/15

■会計事務所(所員)

「所長、税務署から何かおかしな電話があったんですけれど・・・」

□所長

「何だい、変な電話って?」

■会計事務所(所員)

「欠損金の繰り戻し還付を請求したA社の所轄税務署から電話がありました」

「いきなり、欠損金の繰り戻し還付の根拠条文は何か?、などと言われました」

□所長

「え~ ほんとに?」

■会計事務所(所員)

「そしたら、今度は欠損になった期の役員報酬は過大役員報酬だから適性な役員報酬の額を求めて、過大部分を修正申告しろと言っています」

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欠損金の繰り戻し還付とは、前期に納税した法人税を当期の赤字相当額部分だけ還付してもらう手続きを言います。

つまり、前期が黒字で納税した税金を、当期が赤字の場合に、前期納税額のうち、当期の赤字相当額だけ戻してくれる手続きを言います。

この手続きをA社について行ったところ、当期の赤字の原因が不相応に過大な役員報酬によるためだから、税金の還付どころか過大な役員報酬額を損金から取り出して修正申告しろ、ということです。

法人税法では、不相応に高額な役員報酬は損金に算入しないという規定があるからです。

税務署は、この規定を盾にとんでもないことを言って来ているのです。

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□所長

「すごい理屈だな」

「役員報酬が過大だから当期が赤字になったという理屈か・・・」

「呆れるな」

「とんでもないことを言ってくるもんだね、税務署は・・・」

■会計事務所(所員)

「本当に信じられないです」

□所長

「当期に役員報酬を増額したのかい?」

■会計事務所(所員)

「いいえ、前期と同額です」

□所長

「それでは、赤字になるとすべての会社が過大役員報酬になってしまうよな?」

■会計事務所(所員)

「そのとおりです・・・」

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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