週刊税務調査日記

調査対象先の選定(1)

第304号 2008/5/28

 税務署が調査対象先をどのように選定するのかは誰しも興味のあるところです。

 ここ最近の調査で、調査官の話から分かったことをお知らせいたします。

▲納税者

「うちみたいな儲かっていない会社に何で調査に来たのですか?」

●税務署

「コンピュータが自動的に今回は選定しました」

▲納税者

「コンピュータが自動的に選定?」

「どのようなことで選定されたのですか?」

●税務署

「前期は役員からの借入金が増えていますよね?」

▲納税者

「ええ 確かに増えています」

●税務署

「今回は役員からの借入金の増加が多かったためにコンピュータが自動的に調査対象先として選定しました」

▲納税者

「へ~ そんな理由で・・・」

「どうして役員からの借入金が急激に多くなると、税務調査の対象先として選定されるのですか?」

●税務署

「前期は役員報酬も増えているわけではないですよね?」

▲納税者

「はい」

●税務署

「役員報酬が増えているのであれば、その役員個人の資金を会社に入れたとして、役員からの借入金が増えても説明がつきます」

「しかし前期は、役員報酬が増えているわけでもありませんので、どうしてかな?と・・・」

▲納税者

「つまり、私が会社に投入した資金の出所が何かということですね?」

●税務署

「まぁ そのとおりです」

■会計事務所

「ずばり言うと、本来会社に入るべきお金が役員個人に入っているのではないか、ということですね?」

●税務署

「ん~ まぁ そういうことですね・・・」

実際にこのような理由でコンピュータが選定しているようです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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