週刊税務調査日記

人権侵害の調査 (4)

第277号 2007/10/15

多古山さんの銀行口座のコピーを調査官が示して、会社の小切手で80万円の入金がされていることを指摘しました。

税務署は、社長などの個人口座に法人からの入金があると敏感になります。

裏金や、ネコババの可能性があるからです。

調査官は、経理責任者である多古山さんの個人口座に、会社のお金が入金されていたことから、多古山さんが会社のお金を使い込んでいるものと確信して調査に来たようです。

調査官は、勝ち誇ったような態度で、多古山さんを睨みつけています。

●税務署

「どうなんですか、多古山さん」

▲納税者

「これですか?」

●税務署

「これですか?ではないでしょう」

「何で、会社の金があなたの個人口座に入っているのですか?」

「しかも、帳簿を見ると機械を購入したように記帳をしてある」

▲納税者

「え~これは私が会社で使う機械を購入するのに立て替えたお金ですよ」

●税務署

「立て替えたって、どういうことですか?」

▲納税者

「海外からホームページを通じて機械を購入することになったのですが、クレジットカードでしか使えないということで、社長の許可を取って私のカードで購入したのです」

「その分のお金を会社から小切手をもらって、私の口座に入金したのですけれど」

「いけませんか?」

●税務署

「その時のクレジットカードの明細はありますか?」

▲納税者

「はい、これです」

●税務署

「その機械はどこにありますか?」

▲納税者

「はい、これです」

●税務署

「・・・・」

調査官は、ばつが悪そうに会社を後にしました。

多古山さんを「タコ」といったのは人権侵害です・・・・

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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