週刊税務調査日記

美容室の調査 (4)

第215号 2006/7/3

2人の調査官は、社長の自宅でレジシートを部屋中に並べて、売上が漏れていないかどうかチェックしています。

しかし、しばらくして、矛先を変えてきました。

●税務署

「給与計算は奥様がやっているのですよね?」

▲納税者

「ええそうです」

●税務署

「それでは賃金台帳を見せてもらえますか?」

▲納税者

「はいどうぞ」

調査官は、賃金台帳とお店から持ってきた従業員名簿とのチェックをはじめました。

●税務署

「現在の従業員の方の履歴書はありますか?」

▲納税者

「はい、あります」

今度は、従業員の履歴書と従業員名簿をチェックしています。

架空人件費がないかどうかの検証でしょう。

だいたい現金商売の場合は、まず売上をごまかしていないかどうかを綿密にチェックします。

現金を懐に入れて、売上を計上しないケースが現金商売の場合には多いからでしょう。

そして、架空人件費のチェックです。

これも現金商売の場合には、必ずチェックします。

しかし、この納税者の場合はこれらのことは心配無用です。

そんなことをやる方ではありません。

いくら調査しても、何も出てこないはずです。

●税務署

「ふ~」

「チャンとやられていますね」

「こちらでの調査はこれで終わりにします」

▲納税者

「はぁ そうですか・・・」

時間はまだ、午後の3時です。

通常は、税務署に帰る時間を考えても、4時半頃まで調査はするのですが早仕舞いです。

3日後に税務署から事務所に電話がありました。

●税務署

「今回の調査はこれで終了します」

「申告是認です」

チャンと経理して申告するとこんなものです。

はらはらドキドキすることもなく、精神衛生上この方がよいですよ!

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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