週刊税務調査日記

相続税の調査(3)

第32号 2002/10/14

相続税調査の続きです。

調査は何事もなく淡々と進みました。

1日で調査は終わりました。

調査の対象となった相続は、配偶者とその子供が相続人であったことから、遺産の分割もスムーズに行きました。

相続財産を相続人に分ける方法としては、遺言書による方法と遺産の分割協議による方法の2つに大きく分けられます。

遺言書による方法は、故人が生前に自筆もしくは公証人役場で作成した公正証書による形で作成します。

財産を相続人にどのように分けるかといったことを故人が生前に文章にして言い残す方法です。

分割協議による方法とは、遺言書がない場合に相続人全員で話し合いをして決める方法です。

どの相続財産をどの相続人にいくら相続させるということを一覧表にして、相続人全員が実印を押したものを遺産分割協議書と言います。

この相続財産を話し合いで分ける分割協議は、相続財産が巨額になると、ほとんどのケースで相続人同士でもめます。

私も何回か話し合いの中に立ち会いましたが、もう皆さんの顔つきが普段とまるっきり違います。

「何言っているのよ、あんたなんかお父さんの面倒なんかまるっきり見なかったじゃない」

「あんたこそあれでお父さんの面倒を見てたっていうの、ふざけないで!」

もう、お互いの目はつり上がり、興奮で赤く充血しています。

昨日まで仲の良かった兄弟姉妹が、相続財産の分割で仲を違ってしまいます。

一生かかっても蓄えることのできないような財産を目の前にしたら、人間が変わるのも仕方のないことかも知れません。

相続税の申告書は、1枚の申告書に相続人全員の印鑑を押して税務署に提出するのが通常ですが、もめている場合は、相続人各人が申告書を提出するというケースもあります。

今回の調査対象の相続は、一切もめることなく分割協議が整いました。

納税者宅で行った臨場調査は終わり 、あとは銀行や証券会社、その他資料を収集して税務署内で申告の妥当性の検討になります。

そこで問題があれば会計事務所に連絡があります。

今回は、果たしてどのようになるのでしょうか。

       To be continued. 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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