知人から事務所に電話があり、「個人でブティックを経営している女性がいるのだけれども、税務調査の連絡があって心配で夜も眠れないと言っている。調査に立ち会ってもらえないかな?」ということでした 。
依頼を了承して、調査当日です 。
■会計事務所
「はじめまして」と初対面の挨拶 。
まだ、調査官はお店に来ていません 。
そこでどのような帳簿があるのか聞いてみました 。
「申告の元となった帳簿を見せてください」
▲納税者
「はい、これです」と言ってルーズリーフの帳面を見せてくれました 。
■会計事務所
一応、売上と仕入と経費の記帳がしてあります 。
「売上は現金売上とカードですか?」
▲納税者
「そのとおりです。」
■会計事務所
「この帳面の売上は両方入っているのですよね?」
▲納税者
「いえ、現金売上だけです」
■会計事務所
「カード売上は?」
▲納税者
「カードの売上はカード会社から通帳に入金されますが、通帳に入金されるものは一切記帳していません」
■会計事務所
「ということは、カード売上は申告していないということですか」
▲納税者
「はい」
■会計事務所
「・・・・・・」
▲納税者
「先生、どうしましょうか?」
■会計事務所
「どうしましょうかって言われても・・・」
参りました 。完璧な売上計上漏れです 。
そこに「こんにちわ」と税務調査官が来ました 。
うら若き女性の調査官です 。まだ税務署に入りたてでしょうか 。
初々しいです 。
今回の調査は午後からです。通常は午前10時から始まるのですが 、納税者が要求したのか、午後始まりの調査です 。
売上計上漏れは通帳と帳面を見比べられたら一発で分かります 。
もうそうなったら仕方ありません 。
おそらく調査官は税務署に配属されたばかりで、実地研修ような形で1人で調査に来たのではないかと思われます 。調査なれはしていないようです 。
まずはお茶が出ました 。
早速、調査官に話し掛けます 。
「ブティックの調査は初めてですか?」
●税務署
「はい、はじめてです」
■会計事務所
「そうですか」
「店内にいろいろな洋服がありますけれど、どのようなのが好みなのかな~」
▲納税者
「こんなのが似合いそうね」
「若いから、ちょっと短めのワンピースが似合うわね」
■会計事務所
「どんな色が好きですか」
●税務署
「青が好きです」
■会計事務所
「青か~」
「青が好きな人は心がきれいな人だということを知っていますか?」
▲納税者
「え~。そうなの」
「じゃ、赤が好きな人はどんな人なの?」
■会計事務所
「赤はね・・・・・」とべらべら他愛もないことを話しつづけます 。
話している間に時間は過ぎて行きます 。
そうです。
「時間切れ。両者リングアウト」を狙っているのです 。
話して話して、調査官に仕事をさせない作戦です 。
疲れるな~
To be continued.
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