予告なしの税務調査は、税務署から結論の説明の連絡があり 、幕を閉じようとしています。税務署、納税者、会計事務所の3者会談の場に急ぎます。
■会計事務所
「こんにちは!」挨拶して先に来ていた調査官の前に座ります。
表情は穏やかです。たいした税金の漏れがないことがうかがえます。
●税務署
「急にご足労頂きましてありがとうございます」と丁重な挨拶。
「一応調査結果が出ましたのでご説明いたします」と調査結果の説明に入る。
「在庫の計上漏れが15万円、契約書の印紙漏れが3万円です」
「印紙の貼り忘れは本来印紙金額の3倍に相当する過怠税がかかりますが 、今回は自主的に印紙の不納付を申し出た場合の1.1倍の過怠税ということで結構です」
■会計事務所
「ああ、やっぱりこんなものか~と胸を撫で下ろします」
会社の経理の方がきちんと経理処理をした結果です。
在庫の計上漏れ15万円といっても、追加納税額では約6万円です。
これに印紙税の過怠税を合わせても約10万円。相当疑って予告なしで来た調査にしては税務署の収穫は少なすぎたのは明白です。
会社側の勝利です。と、そんなことを考えているとき会社の経理の方が話し始めました。
▲納税者
「あの~。実は決算で在庫の2重計上があったことが昨日分かったのですが、どうしたものでしょうか?」
■会計事務所
「え、いくら2重計上してあったのですか?」
▲納税者
「30万円です」
これを聞いて調査官は言葉を失ったかのようです。
在庫の2重計上を正すと、税務署が税金を取るどころか、税金を会社に返さなくてはなりません。
税務署としては何をしに来たのか分からなくなってしまいます。
非常に困った顔をしています。
■会計事務所
そこで税務署に助け舟です。
「では、2重計上は直さない代わりに、在庫の計上漏れ15万円も無かったことにしませんか?」
在庫の2重計上を直しても在庫の計上漏れと相殺すると戻ってくる税金は大したことありません。
ここは税務署の立場も少しは考えての取引です。
●税務署
「分かりました。収入印紙の貼付漏れの件だけで結構です」と力なく承諾があり、すべて決着。
こうして、突然の調査は幕を閉じたわけですが、やはり突然調査に来るのはルール違反だと思います。
もし、突然調査官があなたの会社や自宅に来たときには、あせらず落ち着いて顧問の税理士に連絡しましょう。
To be continued.
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